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浦島太郎反省会 [名作パロディー]

ただいまより、浦島太郎反省会を行います。

◇カメの反省

ええ、浦島さんには悪いことをしました。
恩返しとはいえ、竜宮城にお連れするなんて。
あそこは時間の流れが人間界と違うんですよ。
竜宮城の1日が、人間界では数年。
1万年生きるカメには何てことなくても、浦島さんは生身の人間ですからね。
いやあ、申し訳ないことをしました。
でもね、これが私の仕事なんです。
若い男を竜宮城に連れていくことがね。
え? 私をいじめた子どもたちですか?
ああ、劇団の子役です。最近の子役は演技が上手いですね。
まあともかく、残りの3875年、反省して生きますよ。
だから許してくださいね。


◇乙姫さまの反省

はい、浦島さんをお引止めしたのはわたくしです。
だって、あんな海の底で、毎日タイやヒラメの踊り見ててもつまらないんですもの。
たまには若い男とゆっくりお話ししたいでしょう。
でもね、奪った時間はきちんとお返ししましたよ。
玉手箱に入れて、決して開けないようにと忠告までしましたのよ。
開けてしまったのは、わたくしのせいではありませんわ。
でもまあ、おじいさんになるまでお引止めしたことは、本当に悪かったと思っています。
…以上ですか?
取材ご苦労様でした。
お土産の玉手箱です。決して開けないでくださいね。ふふふ。


◇浦島太郎の反省

母ちゃん、すまねえ。
ずっと漁師ひとすじで、遊んだこともなかったから、あんなキラキラした城で、あんな美人に会って、ついつい時間を忘れちまった。
戻ったら故郷が変わってて、マジでたまげた。
母ちゃん、老後の面倒みられなくてごめん。
せめて墓参りでもしようと思ったけど、母ちゃんの墓、どこだっけ?


◇浦島太郎の母の反省

物語には直接登場しませんが、ひとこと言わせてください。
太郎や、そんなに反省しなくていいんだよ。
母ちゃんは、てっきりあんたが死んだと思って、生命保険がっぽりもらったんだよ。
まさか生きてるなんて思わないだろう。
それでね、その金で不老不死の薬を買ったんだよ。
おかげで今でも楽しくやってるよ。
今のあんたより若いよ。
だからさ、反省なんてしなくていいよ。
え? あたしの反省? 特にないよ。
じゃあ、いいかな。忙しいんだよ。
今から『ホストクラブ竜宮城』に行かなきゃならないからさ。

以上で、浦島太郎反省会を終わります。
「あー、おつかれー」
「りんさん、この箱なんですか?」
「それね、乙姫にもらった玉手箱。開けちゃだめだよ。開けちゃダメだってば。ちょっと、ホントにダメだよ。ああああああ!」

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SORI

リンさんさん こんにちは
やっぱり、開けちゃダメと言われたら開けたくなるのが人情ですね。
ほんと、みんな真剣に反省しているのかな~~?
by SORI (2016-10-16 15:38) 

ふう

りんさんの文章は、本当に読みやすいです。
無駄がないんですよね。

今三人称を書いてますが、やっぱり凄いなぁ…と思います。

もちろん、話のオチも好きですよ(о´∀`о)
by ふう (2016-10-16 18:56) 

雫石鉄也

ああ、開けちゃった。
おや、なんだか周囲の様子がおかしいぞ。
ん、山が。あの山は火山だ。
山頂がゆっくりと持ち上がった。あかいものが見えた。それがゆっくりゆっくり流れ出た。石が浮き上がった。
これは火山の噴火がスローモーションで見えるんだ。いや、見えているんではない。あの山はスローモーションで爆発してるんだ。
石が飛んできた。火山弾が。あぶない。よけよう。身体がゆっくりしか動かない。
石が頭に触れた。少し、石が頭の皮膚を削った。肉を切った。頭蓋骨にめり込む。ゆっくりゆっくりと。石の角が脳に到達するのがわかる。痛みがゆっくりと感じ始めてくる。
わかった。玉手箱だ。玉手箱をあけたから、こうなった。玉手箱をあけると時間の流れが変化する。アインシュタインの特殊相対性理論では、光の速度と、時間の流れは連携している。光の速度がゆっくりして見える。いや、実際、光の速度が遅くなっているのだ。
おや、玉手箱の底に外国人のじいさんがいる。あかんべえしてやがる。
http://matome.naver.jp/odai/2142966472146247801
by 雫石鉄也 (2016-10-17 13:52) 

まるこ

いじめられていたカメが実はお芝居だったっていうのも笑ったけれど、
最後の母の反省が一番笑った。
いいわー。母親。
ここまで潔く第二の人生を謳歌してるなんて。

最後のオチ。
やっぱりむやみやたらに中身の分からない
箱を開けるのよそうと思いました(笑)
by まるこ (2016-10-18 14:49) 

海野久実

なんとまあ。
これまでとはちょっと趣き違った名作パロディーですね。
いやしかし、カメは大した役者だったんですね。

雫石さんがSFで続きを書いているので、例によって僕もと思って数日考えました。
そして、登場人物の少ない「鶴女房」に決定。

ここに書きかけましたが長くなったので僕のブログに上げる事にしました。

by 海野久実 (2016-10-19 20:46) 

dan

それぞれの反省がそれなりにおかしくて、つい納得
してしまいました。
ちょっと趣向の変わったパロディーで面白かったです。
by dan (2016-10-20 19:45) 

リンさん

<SORIさん>
ありがとうございます。
やっぱり箱は開けたいですよね。とりあえず^^
たしかに、ちゃんと反省しているのは浦島だけですね(笑)
by リンさん (2016-10-21 19:03) 

リンさん

<ふうさん>
ありがとうございます。
なんだかちょっとご無沙汰してしまってすみません。
長編だと、一人称は難しいと聞きました。
三人称はあまり書かないので、私も日々勉強中です。
by リンさん (2016-10-21 19:05) 

リンさん

<雫石鉄也さん>
ありがとうございます。
玉手箱にこんな壮大な続きがあったなんて。
やっぱり雫石さんのSFは本格的ですね。
まさかアインシュタインが出てくるとは!
面白いです。
by リンさん (2016-10-21 19:08) 

リンさん

<まるこさん>
ありがとうございます。
物語には出てこないのに、お母さんお茶目ですね^^

そうそう、むやみに箱を開けてはいけません。
玉手箱を開けなければ、私も18歳のままだったのに(うそ)
by リンさん (2016-10-21 19:10) 

リンさん

<海野久実さん>
ありがとうございます。
反省会シリーズとして、前に赤ずきん反省会を書いたのですが、もっといろいろ書いてみようかと思っています。

海野さんも書いたんですね。
あとで伺います。楽しみ^^
by リンさん (2016-10-21 19:12) 

リンさん

<danさん>
ありがとうございます。
昔話は教訓が入っていたりするので、反省しやすいんだと思います。
また思いついたら書いてみますね^^

by リンさん (2016-10-21 19:15) 

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