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おとぎ話(笑)14 [名作パロディー]

一寸法師

「こんにちは。おとぎ話向上委員会でございます。
おとぎ話を、よりよく、よりわかりやすくするために日々務めております」
「はあ」
「そこで、一寸法師さん、あなたの『一寸』の意味が、子供にはわかりません。正確に教えられる親も少ないです」
「はあ」
「そこで、今日からあなたの名前を、『3.03センチ法師』に変えていただきます」
「…いやだよ」

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浦島太郎

「浦島様、どうしても帰るのですか」
「うん。帰るよ」
「寂しゅうございます」
「じゃあ、乙姫がうちに来れば?」
「あ、それいいかも」

というわけで、乙姫は浦島の嫁になり、一緒に暮らしました。
「ただいま。今日はタイとヒラメが大漁だ。さばいてくれ」
「あいよ。あれ?魚が何か言ってる」
『乙姫様、後生です』
それは、竜宮城のダンサーたちでした。
「まあ、いいか。魚の言葉なんてもう忘れちゃったし」
ズバッ!!

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花さかじいさん

現代にタイムスリップした花さかじいさんは、ストレス社会を救うべく、あちらこちらに花を咲かせていた。
「おじいさん、こっちも花を咲かせて」
「おじいさん、こっちもお願い」

上野公園は、季節外れの桜に大賑わい。
「おじいさん、こっちも花咲かせて」
「おじいさん、ピザ買ってきて」
「あたし、肉まん」
「焼き鳥もね」
「ビールがないぞ。おじいさ~ん」
「あ、ゴミ捨ててきて、おじいさん」
…だれも花見てねーじゃん。

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マッチ売りの少女

「マッチ一本火事のもと~」
「あ、隊長、あそこに火遊びしている子供がいます」
「マッチを擦ってうっとりしていますね。何か見えるのかな?」
「こらこら、火遊びはいけないよ」
「ああん、おじさんが邪魔するから、ご馳走が消えちゃった」
「マッチを擦ると見えるのか?」
「うん。今欲しいものが出てくるよ。すごい美女とか、セクシーな巨乳とか、見たくない?」
「マッチ全部くれ」
「まいどあり~」

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20年目の恋人 [男と女ストーリー]

カウンターに座った女は、薄い水割りに殆ど口を付けていない。
40代と思われる女は、セーターの袖口のほつれを気にしながらうつむいている。
「甘いカクテルでもお作りしましょうか」
鏑木が声をかけると、女性は顔をあげた。
「すみません。ひとりでバーに来たくせに、私お酒が飲めないんです」
「そうでしたか」
鏑木は微笑みながら、ウーロン茶を置いた。
その微笑みに気を許したのか、女性がゆっくり語り始めた。

洗濯物が濡れていたんです。パートから帰ったら雨でびしょびしょだったの。
それを見た途端、あー、今からこれを取りこんで洗い直すのか、お風呂掃除と晩ご飯の仕度もあるのに…って思いました。
朝早くから起きて、洗濯に朝ごはんにお弁当。高校生の息子ふたりを叩き起こすのが結構大変。
家族を送り出してから、掃除と自分の仕度をしてパートに行く。
若い子ばかりがちやほやされる職場で、セクハラまがいのことを言われながら働いて、帰ってすぐに食事の支度。
どんなに忙しくても、家族からはねぎらいの言葉もありません。
当たり前だと思っているの。
夫は忙しく、家でも仕事。息子たちは何を聞いても返事なし。
やっと口を開けば「ウザい」ですよ。
濡れた洗濯物を見た途端、日ごろの不満が爆発したんですね。
そのままUターンして、気づいたら駅から電車に乗っていました。

この町に、昔恋人がいたんです。遠距離恋愛してました。
逢いたくて月に一度通いました。2時間かけて。
帰るのが嫌でした。1分1秒も惜しかった。ずっと一緒にいたかったんです。

「あの頃が懐かしくて、こんな普段着できてしまいました。バカみたいでしょ」
「そんなことはありませんよ」
「あの頃、この店にも来たことがあるんです。町は変わってしまったけど、バー海神のランタンを見たとき、私すごくホッとしたんです」
「そうですか。気づかずにすみません」
「仕方ないです。20年も前ですもの。それに、あの頃は私、モデルみたいに痩せてたし」
女性はここに来て初めて笑った。
「彼と離れたくなくて、この店で終電まで過ごしました。あの時間は宝物だった」

そのとき、カウベルが鳴って、息を切らした男が入ってきた。
「美沙子」
美沙子と呼ばれた女は、まるで彼が来ることがわかっていたように肩をすくめた。
「あらあなた。よくここがわかったわね。仕事は大丈夫なの?」
「そりゃ、こんなメールもらったら」
男がスマホをかざした。
『さようなら。輝いていた頃の私に逢ってきます』

男が女性のとなりに座った。
並んで座るふたりを見て、鏑木は思わず「あっ」と声をもらした。
20年前に寄りそっていたふたりを思い出した。
彼は、「帰りたくない」と泣く彼女を、優しく諭してきちんと終電に乗せた。
そのあと戻って来た彼は、「俺だって離れたくないよ」とため息をついた。
可愛い恋人同士。ふたりの幸せを、鏑木も願わずにはいられなかった。

「たしか、この店でプロポーズをしませんでしたか」
「そうです。よく憶えていますね」
本社に戻れることになった。これからはずっと一緒にいよう。
そう言って、彼は彼女に指輪を渡した。

「あれから20年。私もずいぶん変わっちゃったわ」
「いや、変わったのは僕の方だ。君を失う怖さを改めて思い知ったよ」
妻のプチ家出は、かなり効き目があったようだ。
「ところで、カズヤとユウキの晩御飯はどうしたかしら?」
「コンビニ弁当を食わせたよ。あいつらも心配してた」
「本当かしら。それで、洗濯物は?」
「さあ?それは知らない」
「やれやれ…」

ふたりは、水割りとウーロン茶のグラスをカチンと合わせた。
20年前とまるで同じだ。
少しふくよかになった彼女と、白髪混じりの彼。
20年目の恋人同士は、終電に間に合うように帰って行った。
「お幸せに」
鏑木は、あの頃のようにふたりの背中を見送った。

****
雫石鉄也さんのブログから生まれた「バー海神」の物語です。
大人の雰囲気のバーをお借りして、ストーリーを書いてみました。
主婦目線。私も愚痴もちょっと入っていたりして(笑)

素敵なマスターと味のあるお客様たち。
雫石さんのお話は、こちらから↓
http://blog.goo.ne.jp/totuzen703/c/7e5ac65c4defe90d70f3eeac570bfdd3


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ベルベットの部屋 [SF]

この部屋は、本当に居心地がいい。
温かくて清潔で、おだやかな空気が流れている。
アイボリーの壁には花の絵が飾られ、いつも静かな音楽が流れている。
窓にかかったベルベットのカーテンは、季節ごとに色を変える。

ママはソファーにもたれてレースを編む。
私と弟は、ふかふかの絨毯で本を読んだりトランプをする。
1日中この部屋で過ごすけれど、なんの不自由も感じない。
むしろ楽しい。

夕方パパが仕事から帰ってくると、弟がすかさず飛びつく。
「おかえりパパ」
「パパ、外の話聞かせて」
パパは優しく笑いながら、仕事で出会った珍しい生物の話をしてくれる。
ママは食事をテーブルに並べ、グロテスクな生物の話に眉をしかめる。

パパが宇宙勤務になったのは1年前。
私たち家族は、地球に残るか、パパと宇宙に行くかを問われた。
私と弟は、迷わず「宇宙」と答えた。
地球の学校が好きではなかった。
乱暴な男子にイスを蹴られたり、消しゴムを取られたりした。
早生まれで小さい弟は、理由もなくイジメを受けていた。

宇宙には、どんな恐ろしいことがあるかわからないから、パパが仕事に行っている間、私たちは1日中部屋の中で過ごす。
ベルベットのカーテンが開くことはない。
窓の向こうは、鉄の壁だから。
その向こうがどんな世界か知らないけれど、知る必要もないほどに、この部屋が大好きだ。

ママが10作目のレースを編み終え、私と弟が50冊の本を読み終えた頃、パパが言った。
「もうすぐ地球に帰れるぞ」
ママは目を輝かせた。
「まあ嬉しい。もう味気ない宇宙食を食べなくて済むのね」
私と弟は、思わず顔を見合わせた。
地球になど、帰りたくない。
「3日後、地球に帰るぞ」
パパは言った。

その夜、私と弟は家出の計画を立てた。
3日後の朝、家出をする。
私たちがいないことに気付けば、地球へ帰るのもやめるはず。
「でもさ、外は危険なんでしょう?」
弟がしり込みをする。
「パパはいつも出かけるけど、無事に帰ってくるじゃない」
「特殊な宇宙服を着ているからだ」
「じゃあその服を借りればいい」
宇宙服が小型宇宙船のガレージに2着ある。それを着ればいい。

そして3日後、ほとんど眠らずに朝を迎えた。
パパとママはまだ眠っている。
弟とベッドを抜け出して、そろりと歩く。
鉄の扉を開けるセキリュティーコードはこっそり覚えた。
宇宙服を着て扉を開けると、朝の陽射しが眩しかった。
久しぶりに見る光に、思わず目を閉じた。
そよそよと風になびく草原が広がっている。
鳥のような生物が空を飛び、キツネのような生物が顔を出す。
「なんだ。地球と同じような星だ」

空気があることを知り、宇宙服を脱いだ。
大地に足をのせると、弟ははしゃいで走り回った。
私は久しぶりすぎて、上手く走れない。
足がもつれて転んだとき、うしろからパパの声がした。
「こら、いきなり外に出たら危ないだろう」
しまった。連れ戻される。

「パパ、私ずっとこの星にいたい。地球に帰りたくない」
パパとママは呆れたように笑った。
「何言ってるの?ここが地球よ」
「え?だって、今日地球に帰るんでしょう?」
「たった今帰って来たんだよ。3日間かけて地球にね」

振り向くと、大きな宇宙船が私たちを見おろしている。
窓もない鉄のかたまり。
朝露を含んだ草が足元をくすぐり、優しい風が髪を揺らした。
1年間過ごしたベルベットの部屋が、なぜだかとても不自由に感じた。

「お姉ちゃん、ぼく学校へ行ったら、みんなに宇宙生物の話をするんだ」
息を切らした弟の顔が輝いている。
「うん。私も」 と答えていた。
なぜだろう。少しだけ、楽しみだ。


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吸血鬼の日常 [公募]

私たち吸血鬼一族は、神代の昔から森の奥でひっそり暮らしていた。
しかし時代は変わり、度重なる自然災害や森林伐採で、とうとう住処を追われてしまった。
都会で人間たちと共存するようになって、もう30年が過ぎようとしている。
今ではすっかりこの暮らしに馴染んでいる。

最初は吸血鬼に対する偏見で、恐れられたり迫害されたり、大規模な抗議デモが起こったりした。
だけど私たちは長い時間をかけて、自分たちがいかに無害かを証明し、人間たちの理解を得るための努力をした。
その結果、私たちは市民権を得て、人間と同じ暮らしができるようになった。

この街の人口の、約一割が吸血鬼だ。
太陽が苦手な私たちは、夜働いて利益を得ている。
ちなみに私は、深夜のコンビニでアルバイトをしている。
十年前に結婚した夫は、血液工場で働いている。
血液工場というのは、人間から血液を買い、特殊な技術で真空パックして市場に出荷する工場だ。この工場のおかげで、私たちはいつでも新鮮な血液がスーパーで買える。
だから人間を襲って血を吸うなどと野蛮なことはもうしない。

深夜のコンビニに来る客は、吸血鬼が多い。
「仕事何時まで? 深夜カフェでブラッディドリンクでも飲まない?」
などと誘われることも多い。
「お生憎さま、私は人妻よ。家には五歳になる息子が待っていますの。仕事が終わったらすぐに帰るわ」
ご存知のように吸血鬼は年を取らないから、いつまでも若さと美貌を保っている。
それを武器にキャバクラでナンバーワンになった友人もいるけれど、私は今の仕事がとても好き。

ヘルメットをかぶった怪しい男が入ってきた。コンビニ強盗だ。
こういうことはたまにある。男は手に、ナイフではなく十字架とニンニクを持っている。
「金を出せ」
私は十字架とニンニクをじっと見た。
「平気なのか?」
「お客様、吸血鬼が十字架とニンニクに弱いなんて、本当に思っています? そんなの誰かが考えたただの迷信ですよ。警察呼びます? それとも生血を吸いましょうか?」
普段は隠している牙をちらりと見せる。男は一目散に逃げて行った。
こういう刺激もたまには楽しい。

明け方まで働いて家に帰ると、何やら家の前が騒がしい。先に帰っていた夫が、隣の奥さんにペコペコ頭を下げている。
「あなた、どうかしたの?」
「あ、ママ、大変だよ。しんのすけが隣のリナちゃんを噛んじゃったんだ」
「まあ、まさか、血を吸ってしまったの?」
「血を吸う前にリナちゃんが逃げたらしい」
「ああ、よかった。血を吸ったら大変だったわね。リナちゃんも吸血鬼になっちゃうもの。まあ、吸血鬼の暮らしも悪くないけどね」
ふふっと肩をすくめたら、隣の奥さんがすごい剣幕で怒鳴ってきた。
「ああよかったじゃないわよ。未然に防げたからいいけど、いつ血を吸われるかと思うと、夜も眠れないわ」
「すみません。しんのすけにはよく言って聞かせますわ。これ、うちのコンビニの新商品なんですけど、よかったらどうぞ」
しんのすけのお土産に買ったおやつを渡して、何とかなだめた。
裁判沙汰になったら大変だから、あとで金一封を渡しましょう。

家に入ると、しんのすけがしょんぼり座っていた。反省しているようだ。
「しんちゃん、毎日必要な血液を与えているのに、いったいどういうこと?」
「まあ、ママ、そんなに頭ごなしに叱らなくても。リナちゃんがムチムチしてて美味しそうだから魔が差したんだよな。ほら、しんのすけはグルメだから」
「あなた甘いわよ。ここに住めなくなったらどうするのよ。あなただってやっと課長になったのに」
「そうだな。ここは厳しくしよう。しんのすけ、どうして夜中にリナちゃんのところに行ったりしたんだ」
しんのすけは、ぐすんと涙ぐみながら、いやいやをするように首を振った。
「行ったんじゃないよ。リナちゃんに誘われたんだ。夜中にお散歩しようって」
「まあ、リナちゃんが? まだ小学生なのに大胆な子ね。それで、どうしたの?」
「リナちゃんが、血を吸ってくれって言ったんだ。吸血鬼になりたいんだって。僕はいやだって言ったよ。だけど、どうしてもってお願いされて…」

これは、幼い恋心か。人間と吸血鬼の禁断の恋物語か。
「でも、血は吸わなかったのよね」
「うん。血を吸う前に、リナちゃんが変身しちゃった」
「変身?」
「体中から黒い毛が生えてきて、リナちゃん動物になっちゃった。だから僕、急いで逃げてきたんだ」
「じゃあ、逃げたのはリナちゃんじゃなくて、しんちゃんなのね」
「しんのすけ、そのとき、月は出ていたか?」
「うん。雲が割れて、まんまるの月が出た」

ああ、そういうことか。
前からおかしいと思っていた。
隣からたまに聞こえる遠吠えのような音。裏通りをさっと通り抜ける犬のような動物。
間違いない。隣のご主人は狼男だ。そしてリナちゃんもその血を継いでいる。
狼男はまだ市民権を得ていないから、いっそ吸血鬼になったほうがいいと思ったのだろう。

「さあ、朝ご飯を食べて眠りましょう」
私はしんのすけの頭をなでて、新鮮な血液をテーブルに並べた。
新しい一日が、今日も始まる。

********

公募ガイド「TO-BE小説工房」で落選だったものです。
テーマは、「ありえない出来事」

公募ガイドを見る前に、落選だとわかっていました。
なぜなら、枚数を間違えるというとんでもないミスをしてしまったのです。
5枚厳守なのに、6ページあった@@
しかも全く気付かずに送ってしまい、気づいたのは締め切りのずいぶん後。。。
こんなミスは初めてです。
まさに、ありえない出来事だ~

まあ、5枚に収めて送っても、入選したかどうかはわかりませんが…
気が緩んでいるのかな。
気を付けよう。
こんなミスは初めてです。


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素晴らしき俳句の世界? [コメディー]

俳句の会に誘われた。
俳句なんて全くわからないけど、夫は仕事人間だし子供たちはとっくに成人した。
だから思い切って行くことにした。

「こ、小林と申します。よろしくお願いします」
「もう、小林さんったら、そんなに緊張しなくて大丈夫よ」
「だって、すごい文豪みたいな人がいるんだもの。着物着て猫を膝に乗せてる人、何者?」
「ああ、あの人は松尾さん。自称、松尾芭蕉の子孫らしいわ」
「すごい!よっぽど上手なのね」
「うーん。あくまで自称だから」

うながされて松尾さんの隣に座る。
「可愛い猫ですね」
「猫ではない。弟子の曾良だ」
そら? そういえば芭蕉には曾良という弟子がいた。
「では、曾良君も俳句を?」
「まだまだ半人前だ」
いや、半人前どころか、人ですらないけれど。

テーブルには使い古したノート。
『奥の細道』って書いてある。
「やはり、旅をして俳句を詠んでいるんですか?」
「生きることそのものが旅だ」
かっこいい。ふと見えたスケジュール帳には予定がびっしり。
やっぱりいろんな旅をしているのだろうと、ちょっと覗く。
『月曜日 可燃ごみ・火曜日 ペットボトル………』
これって…。
『忘れるな 月に一度の 古新聞』
標語か?

句会が始まった。
今月のお題は「初霜」
松尾さんが、短冊にサラサラと俳句を書き始めた。
さぞや素晴らしい句なのだろう。

『初霜や つわものどもが 夢のあと』
ん? 
『初霜を あつめて早し 最上川』
『初霜や 隣は何を する人ぞ』
『初霜や 蛙飛び込む 水の音』
何これ? ひどいにもほどがある。最後の句に至っては季語がバラバラ。

「あんた。小林さんだったかな?作ってきた句を見せなさい」
「初めて作ったので自信がないんですけど…(あなたよりはマシかも)」

私は、夕べ考えた俳句を、短冊に書いた。
『初霜や そこのけそこのけ おんまが通る』

「小林さん、あんた、まさか」
「はい、小林一茶の子孫です(自称)」


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こっちは、はるさん家の「そら君」
俳句詠むかにゃ~?


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続きは夢の中 [ファンタジー]

幼いころ、ベッドの中で、母がいつも物語を話してくれた。
僕はそれが楽しくて、もう眠るどころではなかった。
物語のほとんどは母の創作で、わくわくしながら続きを待った。
しかしある程度の時間になると、
「はい、おしまい。続きは夢の中」
と言って、電気を消してしまう。
続きがすごく気になるのに、電気を消されると魔法にかかったようにすぐに眠った。
そしてケロッと忘れてしまう。
次の夜には、母もまたケロッと忘れてしまうのか、別の話を始める。
その話も途中で終わり。
「はい、おしまい。続きは夢の中」
だから母の物語は、どれもみんな未完結だった。

竜に乗って戦う戦士
風の魔法で旅をする少年
突然現れた恐竜に連れ去られた姫を助ける少年
みんなどうなってしまったのだろう。
今頃になって、やけに鮮明に思い出す。
結末のない物語たち。

それなりの反抗期を経て大人になり、結婚して父親になった。
親の気持ちがやっとわかるようになったころ、母が病に倒れた。
父とともに毎日のように病室に付き添った。
弱っていく母に、僕はなるべく明るく話しかけた。
「母さん、いつも寝るときに話を聞かせてくれたよね」
「そうね」
「だけどさ、いつも途中で終わっちゃったね」
「あら、夢で続きを見たんじゃないの?」
「夢なんかみてないよ」
「あら変ね。夢で続きを見るように、魔法をかけたのに」
「そんなこと言って、本当は結末を考えてなかったんだろう」
ふふふと母は笑った。

数日後、母は静かに息を引き取った。
眠るような穏やかな最期だった。

葬式をすませた夜、なかなか寝付けずにいると、7歳になる息子が起きてきた。
「パパ」
「なんだ、起きちゃったのか」
「あのね、竜に乗った戦士は、光る石を見つけて悪魔の呪いを解くんだ」
「え?」
「風の魔法で旅を続けた少年は、最後の行き先に、自分の家を選ぶんだ。家がいちばんいいって最後に気づくんだ」
「それって…」
「恐竜に連れ去られた姫を救うため、少年は時空を超えるんだ。氷河期の世界に恐竜だけを残して姫と一緒に戻ってくるんだ」
「物語の続きか?」
「わからない。夢を見たんだ。忘れないうちにパパに話さなきゃいけない気がしたんだ」

僕が見られなかった物語の続き。
母がかけた魔法は、息子に引き継がれたのだろうか。
写真になった母に尋ねても、静かに笑うだけだった。

「パパ、何か話して」
「よし」
僕は、母が話してくれた物語の記憶をたどって、息子に話した。
「はい、おしまい」
「え~。もう終わり?」
「続きは夢の中だ。明日の朝、パパにも教えてくれよ」
息子の頭をなで、電気を消す。
明日が楽しみだ。ねえ、母さん。


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祝!700記事

「お父さん、宿題教えて」
「どれどれ、タロウはどんな勉強をしているんだ?」
「これだよ」

問1. 2015年11月1日に、700記事を達成したブログは何でしょう。
問2. 問1のブログで、アクセス数がもっとも多かった記事はなんでしょう。
問3. 問1のブログが始まったのは、何年前でしょう。


「なんだ、タロウ。こんな問題もわからないのか。父さんは情けないぞ」
「ごめんなさい」
「まず1問目の答えだが、2015年11月1日に、700記事を達成したブログは(りんのショートストーリー)だ。必ずテストに出るぞ」
「はい」
「2問目のアクセス数がもっとも多かった記事は、仮面夫婦だ。ちなみに2位は、泣いた赤鬼…のその後、3位は肝試し(怪談)だ。このくらい、一般常識だぞ」
「はい」
「3問目だが、りんのショートストーリーが始まったのは2009年の11月だ。つまり、6年前ということになる。こんなことがわからないと、社会に出て苦労するぞ」
「はい」
「よし、今夜は徹夜で勉強だ」
「はい、お父さん」


まあ、こんな親子はいないと思いますが(いや、絶対いないよ)、私のブログが700記事になりました。
みなさまのおかげで、続けてくることができました。
ありがとうございます。

ここまで来たら、1,000回、10,000回目指してみるか^^
今後ともよろしくお願いします。


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