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祝!900記事 [コメディー]

本日は、お忙しい中お集まりいただきましてありがとうございます。

りんさんのブログ「りんのショートストーリー」が、なんと、900記事を達成いたしました。
これも、ひとえに読者のみなさまのおかげでございます。
そこで今日は、りんさんが、どんなご質問にもお答えいたします。
年齢、体重、体脂肪以外は何でもお答えいたします。
さあどうぞ、質問のある方は挙手願います。

はい、そこのあなた。
「質問です。900もの話を書いてこられたということですが、ヒマなんですか?」
「いいえ、決してヒマではありません。仕事中に、仕事をしているふりをして書いているのでご心配なく」

次、そちらのあなた。
「900もの話、全部自分で書いてるんですか? ゴーストライターがいるんじゃないですか」(そうだそうだ、絶対いるぞ)←ヤジ
「それはありません。ゴーストライターを雇える財力がありません」

次は、あなた、どうぞ。
「最近コメント返しが遅いですが、職務怠慢だとは思わないんですか」(怠慢だぞ!)
「すみません。夏休みの宿題もためて一気にやるタイプだったので、そういう性分だと諦めてください」

では、次の方。
「ブログのランキングを上げようとして、nice!の強要をしていませんか」
「してません」

「他のブロガーとの忖度はあったんですか」
「ありません」

「悪質タックルの指示はあったんですか?」
「?? あった…かも?」

「文書改ざんの指示はあったんですか?」
「?? あった…かも?」

「サッカー日本代表は勝てると思いますか?」
「勝てる…かも?」

「寒かったり暑かったりで、何を着たらいいかわかりません」
「私もわかりません」

「何を質問するかがわかりません」
「じゃあもうやめる?」

以上、900記事記念記者会見でした。


というわけで、相変わらずくだらなくてすみません。
このブログを始めて、もうすぐ9年です。
めざせ、1000記事!
今後ともよろしくお願いします。


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子離れ [コメディー]

一人暮らしをしたいと言ったとき、思った通り、母は反対した。
私を溺愛しているからだ。
「でもね、お母さん。通勤時間1時間半って、けっこう大変なのよ。うちの会社は時間が不規則だし、残業になったらそれこそ、寝に帰るだけよ」
「残業なんてしないで早く帰ってくればいいでしょう。だいたい若い女の子をそんな遅くまで働かせる会社がどうかしてるわ」
「お母さん、昔と違うのよ。男も女もないのよ」
「一人暮らしなんて、ずぼらなあんたには無理に決まってる」
何を言っても平行線。そもそも私は24歳だし、アパートの契約もひとりで出来る。
会社から5分のアパートを紹介してくれる先輩もいる。
だから私は、反対されても家を出る決心をした。
母には、早く子離れして欲しい。

ひとりでアパートを決めた。
母とはずっと口をきかず、引っ越しの日には父が来てくれた
「足りないものがあったら言いなさい。それから、ちゃんと連絡は入れるように。メールでいいから、1日1回、お母さんに送りなさい。お母さんは、寂しがり屋だからな」
父は、優しく言って帰って行った。

一人暮らしは快適だった。
朝6時に起きなくていいし、満員電車に乗らなくていいし、飲み会で電車の時間を気にすることもない。
同僚が遊びにきて「いいなあ」を連発する。優越感だ。
私は毎日楽しくて、母へのメールも忘れていた。母からもメールはない。
きっと意地を張っているのだろう。

しかし、快適な暮らしは、1か月後に崩れる。
通帳の残高を見て愕然とした。
「うそ、なんでこんなに少ないの?」
家賃の他に光熱費と水道代というものがかかる。
わかっていたことなのに、その金額に驚く。
引っ越したばかりで友達がたくさん来て、電子レンジを使いまくった。
朝からシャワーを浴びたりした。
おまけに、実家暮らしのときにカードで買った服や化粧品の引き落としもある。
貯金は家具や家電を揃えるのに使ってしまい、ほとんど残っていない。
給料を全部、自由に使えた癖が抜けずに、ついつい余計なものを買っていた。
ヤバい。生活費が足りない。

父に電話して、いくらか援助してもらおうと思ったけれど、よく考えたら父の小遣いは、私の学生時代のバイト代より少ない。無理だ。
週末のディナーをキャンセルして、合コンも飲み会も断ろう。当分贅沢は敵だ。

もやしばかり食べていたら、無性に母の手料理が食べたくなった。
週末に帰ってみよう。きっと母だって、寂しがっているはずだ。
突然行って驚かせたら、泣くかもしれない。
そして泣きながら、私の好物を作ってくれるだろう。

家に帰り、庭に入った途端、犬に吠えられた。
噛みつきそうな勢いで、キャンキャン吠える。
「あらあら、マリンちゃん、どうしたの?」
高級そうな犬用の牛肉を持った母が出てきて、私に気づいた。
「あら、あんた帰ってきたの?」
「お母さん、犬飼ったの?」
「犬じゃないわ。マリンちゃんよ」
私のお腹がグーっと鳴った。
「お腹空いてるなら、台所にカップ麺があるから食べなさい。お母さんは今からマリンちゃんのトリミングなの」
母はあっさり出かけてしまった。

台所では、父がカップ麺にお湯を注いでいた。
「ああ、帰ってきたのか。しょうゆ味と味噌味、どっちがいい?」
「お父さん、犬飼ったの?」
「ああ、お母さんは犬を溺愛している。犬って呼ぶと怒られる。マリンちゃんだ」
ふうん。
子離れ、早すぎない?
私は、しょうゆ味のカップ麺にお湯を注ぎながら思った。
あの犬、私よりいいもん食ってたなあ~。


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傘の想い出 [コメディー]

ショッピングモールの「鉄道忘れ物市」を、何気にぶらぶら見ていたら、見覚えのある傘を見つけた。
黒地に赤や黄色や緑やオレンジといった様々な色がちりばめられた、カラフルで派手な傘だ。柄にもマーブル模様が入っている。

それは、何本も傘を失くす僕のために、妻がプレゼントしてくれたものだった。
「これだけ派手なら失くさないでしょ」と。
しかし数か月前、飲み会で何軒もはしごした末に、どこかに忘れてきてしまったのだ。
てっきり店かと思ったが、電車の中だったのか。

自分の傘を買うのもどうかと思ったが、返してくれとも言えない。
せっかく妻が買ってくれた傘だし、ここで会ったのも運命だ。
僕は傘を買おうと思い、手をのばした。

そのとき、後ろから手が伸びて、僕の傘をひょいと掴んだ。
振り向くと若い女性と目が合った。
「あの、この傘、わたしのなんです。先月亡くなった父が、元気だったころに出張のお土産で買ってきてくれた大切な傘なんです。失くしてしまって落ち込んでいたけれど、こんなところで出会えるなんて、きっと天国の父が巡り合わせてくれたんだわ」
「いやいや、これは僕の傘ですよ。妻が買ってくれたんです」
「いいえ、こんな目立つ傘を、間違えるはずがありません。これは私の傘です」
「僕の傘ですよ。きっとこの柄には、僕の指紋がたくさん付いています」
「指紋くらい何よ。私には父との想い出がたくさん詰まっているわ」
僕たちは、互いに譲らず、傘を握っていた。

そのとき、もうひとつの手が延びてきた。
「君たち、悪いがこれはわしの傘だ」
老人が、細い手で傘を握った。
「高校生の孫がプレゼントしてくれた大切な傘じゃ。車に轢かれないように、目立つ傘をさした方がいいと言ってな。優しい孫じゃ。それをうっかりどこかに置き忘れて、探しておったんじゃ」
「いえ、これは僕のです」
「わたしのよ」
「わしのじゃ」

こんなに特徴的で派手な傘の持ち主が、3人もいるなんて驚きだ。
有名ブランドでもないし、スーパーでもデパートでも、売っているのを見たことがない。
それぞれ事情はあるだろう。
だけど最初に見つけたのは僕だ。譲る気持ちなどさらさらない。
僕たちは、傘を握りしめて睨み合っていた。

「あの~、その傘、俺も持ってるよ」
ちょうど通りかかった若者が、同じ傘を掲げて見せた。
どうやら外は雨が降り出したらしい。
傘用のビニールに入って、しっとり濡れているが、まさしく同じ傘だ。

それにしても、こんなに特徴的で派手な傘の持ち主が、4人もいるなんて驚きだ。
すると若者が、傘を小脇に抱えながら言った。
「その傘、パチンコの景品だよ」
「えっ」(一同)
「駅前のパチンコ屋のオリジナル商品。おれ、たった今交換してきたところ。帰ろうとしたら雨が降ってたからさ」

パチンコの景品……。
3人は、同時に傘から手をはなした。
「あいつ、忙しいって言いながらパチンコを?」
「お父さんの出張って、パチンコ屋?」
「高校生は、パチンコしちゃいかんだろ」

あーあ、外は雨か。
地味でふつうの傘、買って帰ろ。


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弥生さん [コメディー]

弥生さんは、婚活パーティに参加しました。
「弥生です」と名乗ると、八割がた言われる。
「3月生まれですか?」
「はい、そのとおり。ちなみに父は1月生まれの睦月(むつき)、母は5月生まれの皐月(さつき)です」
というのが、弥生さんの定番の自己紹介でした、

この日は、運命的な出会いがありました。
彼の名前は、葉月くん。
弥生さんはいつもの自己紹介の後、葉月くんに言いました。
「葉月さんって、8月生まれですか?」
「はい、そのとおりです。ちなみに父は4月生まれの卯月(うづき)で、母は10月生まれの神無(かんな)です。もうひとつオマケに、祖母は2月生まれの如月(きさらぎ)です」
「すごい」

弥生さんは、運命を感じました。
しかも葉月くんはなかなかのイケメンです。
このまま結婚に猪突猛進!
「葉月さん、私たちが結婚したら、1月、2月、3月、4月、5月、8月、10月と、12カ月のうち7カ月が揃いますよ」
「本当だ。そうしたら子供は6月生まれの水無月(みなづき)、7月生まれの文月(ふみづき)を目指しましょう」
「あら、子供だなんて気が早いわ」

そんな将来設計まで飛び出したところに、ひとりの女が割り込んできました。
「ちょっと待った!」
「何ですか?あなたは」
「ふたりとも、ずいぶん盛り上がっているけど、9月と11月と12月はどうなるの?」
「どうなるのって……」
「さすがに長月(ながつき)、霜月(しもつき)、師走(しわす)はないよ。名前としてはイマイチだ」
「だから甘いって言ってるの。葉月くん、あなた私と結婚したら、12カ月のすべてを家族に出来るのよ」
「どういうことだ?」

さて、どういうことでしょう?
彼女はなぜ、そんなことを言ったのでしょう?
答えは、4月生まれで季節とは全く関係ない名前の作者が撮った写真のあとで(おそまつ)

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1458543340476.jpg

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<答え>
「12カ月のすべてを家族に出来るって、どういうこと?」
弥生さんの問いに、女は答えました。

「私の名前は、暦(こよみ)でーす」
「こ、こよみ! それは素晴らしい。まさに僕にピッタリだ」
「暦か。それじゃあ太刀打ちできないわね」
そんなわけで、今回の婚活は空振りに終わりました。
弥生さんに、早く春が訪れますように。

みなさん、わかりました? 簡単すぎたかな。



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義理チョコ禁止 [コメディー]

「倉田さん、おはようございます」
「あれ、佐々木さん、もう風邪大丈夫?」
「はい。三日もお休みしちゃってすみません」
「いいよ、いいよ。お互い様さ」
「あの、それからこれ、チョコレートです。昨日のバレンタインデーに渡せなくてすみません」
「あれ、佐々木さん、知らないの? 今年から義理チョコ廃止になったんだよ。部長からの命令。社内での義理チョコは禁止になったんだ」
「そうなんですか。三日も休むと浦島太郎ですね」
「まあ、俺たちもホワイトデーのお返し、気にしなくて済むからさ、その方が気楽だよ」
「でも、せっかく作ってきたんだから受け取ってくださいよ」
「えっ、手作り?」
「昨日は熱も下がってヒマだったから作ったんです。ラム酒をちょっと入れて本格的に作ったトリュフです。買ったチョコより絶対に美味しいですよ」
「うーん。じゃあもらうけど、お返しはいいよね。だって本当は禁止事項なんだからさ」
「それはおかしいですよ。世の中すべて、ギブアンドテイクですよ」
「えー、じゃあいらない。そもそも佐々木さんにだけホワイトデー返したら変でしょ」
「じゃあ、こうしましょう。売ります」
「はっ? 売る?」
「はい。このチョコを、倉田さんに販売します。それならいいでしょう」
「いやいや、おかしいでしょ。バレンタインチョコをやるから金払えってこと?」
「そうです。それだったらホワイトデーのお返しは結構です」
「じゃあさ、試食させてよ。試食もしないで買えないよ」
「わかりました。自分用に取っておいたチョコですが、どうぞ、食べてください」

「う、美味い! なんだこれ。すごく美味いぞ。甘さ控えめで、口の中でふわっととろける。ラム酒の香りもいいなあ」
「でしょ。私、パティシエを目指していたんです。お菓子作りはプロ並みですよ」
「払う。金払うよ。いくら?」
「いくら出します?」
「1個100円、6個だから600円」
「じゃあ、1800円いただきます。ホワイトデーは3倍返しと相場が決まっていますから」
「ちゃっかりしてるな。わかったよ。はい、1800円。これでお返しはナシだからな」
「まいどあり。じゃあ私、部長にチョコを渡してきます」
「えっ、ダメだって。義理チョコ禁止令を出したのは部長だぞ」
「大丈夫です。義理チョコじゃありません。本命チョコです」
「えっ、マジで? 不倫じゃん!」
「ふふふ、義理チョコ禁止令を提案したのは、実は私です。だってあの人、血糖値が高いんですもの。私が作った糖質カットのチョコしか食べさせたくないんです。奥様はそういう気遣いが出来ない人みたいだし。倉田さん、味見してくれてありがとうございます。倉田さんグルメだから、感想を聞きたかったんです。来年もよろしくお願いしますね」

「か、金返せ!」

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母の教え [コメディー]

「えー、野田さん休み? 子供がインフルエンザ? なんだよ~。あー、やっぱり若い独身女性がよかったなー。野田さんの子供、身体弱くね? それでなくても学校行事で会社休むくせに。その分こっちに仕事が回ってくるんだから、勘弁してほしいよな~」

『こら、マサヨシ!』
「えっ? かあちゃん?」
『情けない。おまえは子供の頃、しょっちゅう熱出したこと忘れたのか! その度に母ちゃんは仕事休んでお前の看病したんだぞ。そりゃあ嫌味を言う人もいたさ。だけど優しい上司や先輩のおかげで、母ちゃんは仕事も育児も頑張れたんだ。いいかい、子供は国の宝だよ。ということは、その母親も宝だ。おまえは馬鹿だけど、人の気持ちがわかる男に育てたつもりだ。自分ひとりで大きくなったわけじゃあるまい。優しくて、心の広い男になれ!』

「先輩。どうしたんですか。早く外回り行きましょうよ」
「いや、今、おふくろの声が…」
「先輩、マザコンっすか? 早く行きましょうよ。野田さんの分の仕事もあるんだし。また残業ですよ。まったく勘弁してほしいっすよね」
「こら、そんなこと言うんじゃない。子供は国の宝だ。ということは、母親も国の宝だ。俺たちみんなでフォローしようじゃないか」
「先輩。おれ、感激しました。先輩って心の広い素晴らしい人だったんですね」
「いや、それほどでも…。だけどな、人の気持ちがわからない奴は出世できないぞ」

「あの、先輩、言いにくくてずっと言えなかったんですけど…」
「なんだ?」
「おれ、来月から育休もらってもいいっすか?」
「ええ~~~~」
「子供は国の宝ですから、当然父親も宝っす。フォローよろしくお願いします」


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初詣・初デート [コメディー]

今年の正月は、愛に満ち溢れている。
14歳にして初めてできた彼女と、初詣デート。
幸せすぎる。
さらば家族団らんの正月よ。僕は大人への階段を一段昇るのだ。

「お母さん、おれ、雑煮食べたら出かけるから」
「あら、初詣? だったらアイコも連れて行ってよ。ひとりで行くって朝から騒いでいるのよ。さすがにひとりじゃ危ないでしょ。だからお兄ちゃん、連れてってあげて」
アイコは小学生の妹だ。
妹連れの初デートなんて、シャレにならない。

「いやだよ。おれ、友達と一緒だもん」
「どうせ鈴木君たちでしょ。いいじゃないの。連れて行ってよ。それとも何? 親に言えない友達なの?」
鋭い目で、母が僕の目をのぞきこむ。
「わかったよ。連れて行くよ」

アイコのやつ、どうせ露店が目的なんだろう。
チョコバナナでも買って先に帰せばいいか。
僕はアイコを連れてしぶしぶ家を出た。

「ねえねえお兄ちゃん、お年玉いくらもらった?」
「教えねえ」
「ねえねえお兄ちゃん、おもち何個食べた」
「3こ」
「ねえねえお兄ちゃん、年賀状何枚きた? アイコは15枚」
「数えてねえし」
「ねえねえお兄ちゃん、冬休みの宿題やった?」
「やってねえ」
「勝った! アイコはあと書初めだけ」

妹よ。お兄ちゃんはもう、そんな低レベルな勝ち負けに興味はないのだよ。
純粋無垢で無邪気なおまえが羨ましいよ。
お兄ちゃんはもう、子供じゃないからな。

「ねえねえお兄ちゃん、恋って切ないよね」
「はっ?」
「ねえねえお兄ちゃん、恋すると、秘密が増えるよね」
「はあ?」
「ねえねえお兄ちゃん、恋すると、心の中に違う自分が生まれるよね」
「なになに?」
「お兄ちゃん、じつはわたし、今日デートなの。だからお兄ちゃん、神社に着いたら別行動してほしいの。お母さんとお父さんにはナイショね」
「えっ? ちょっと待て」
「お年玉でチョコバナナ買ってあげるから、お願い」
「デ、デートって、おまえ。誰と?」
「ひとつ上の6年生。優しくてイケメンなの。お母さんには言えないから、お兄ちゃんをダシに使っちゃった。へへ」

いや、あの、別行動は願ったりかなったりのはずなんだけど、なんだこのモヤモヤは。
ああ、もうすぐ神社に着いてしまう。
初デートだけど、楽しみにしていた初デートだけどさ……。

「あのさ、アイコ、今日、ダブルデートしよ」


*******

みなさま、お正月いかがお過ごしですか。
今年もこんな感じでやっていきます。
どうかよろしくお願いします。

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おおみそか [コメディー]

お寺の除夜の鐘が聞こえる。
彼女と過ごす初めての大晦日。
除夜の鐘が鳴り終わったら、彼女にプロポーズしようと決めていたのに。

彼女はずっとスマホを見ている。
厳かに除夜の鐘を聞く精神は、持ち合わせていないようだ。

「ああ、負けた。こいつマジ強い」
どうやらネットの誰かとゲームで対戦しているようだ。
「こいつさあ、相当課金してるね。だから強いんだよ。ああ、私も課金したいなあ。宝くじ当たらないかな~」
煩悩だらけじゃないか。

「ねえ、もう年が明けるよ」
「そうだね」
108つの鐘が終わった。

「おめでとう」と、僕は彼女に言った。
「ありがとう。やっと難関のステージが終わったわ」
いや、新年のあいさつの「おめでとう」なんだけど……。

難関のステージ終わったのに、彼女はまだスマホを離さない。
ピンポン♪
僕のスマホにラインが来た。目の前の彼女からだ。
『あけおめ~[ハート]

やっと年が明けたことに気づいたんだね。
僕もラインを返した。
『あけおめ。結婚する?』
彼女から、『りょうか~い』の動くスタンプ。

え~~~っと、これでいいのかな? 僕たち。

***
あっという間におおみそか。
おせちも作り終え、あとはそばを食べるだけの我が家です。
温泉にでも行きたいところですが^^
今年もお世話になりました。
来年もよろしくお願いします。


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同窓会の夜 [コメディー]

中学校の同窓会は、あくびの数を数えたくなるほど退屈だった。
30代も半ばになると、みんなダンナの話と子どもの話ばかり。
独身であることを告げると、返ってくる反応は金太郎飴みたいに同じ。
「自由でいいね~」「羨ましい」

うんざりしていたところに現れたのは、学年一のモテ男、田所君だ。
「遅れてごめん」と入ってきた田所君は、36歳とは思えないほど若くてイケメンでスラっとして爽やかだった。
ダンナの話や子供の話で盛り上がっていた女子たちは、たちまち田所君を囲んだ。
「田所君、変わらないわ」
「何飲む?」
「お仕事は? 結婚は? うそ、独身なの!」
田所君は、目がハートの女子たちをやんわりかわして、私の方へ歩いてきた。
「久しぶり、香川さん」
田所君が私の隣に落ち着いてしまったので、女子たちは再びダンナや子供の話に戻った。

「香川さん、マキちゃん元気?」
開口一番、田所君が言った。マキは私の妹だ。
ひとつ下のマキと田所君は、中学から高校まで付き合っていた。
「俺、何人かの女性と付き合ったけど、一番はマキちゃんなんだ。青春だったからな」
「まさかマキが忘れなくて独身ってわけじゃないよね。それだったらご愁傷様。マキは結婚して3人の子持ちよ。ちなみに私は独身だけど」
「えっ、3人も。ダンナさんはどんな人?」
「IT企業のエリートよ。ちなみに私は独身よ」
「そうか。幸せなんだな。優しいお母さんなんだろうな」
「毎日怒鳴ってばかりよ。だって3人もいるんだもん。ちなみに私は独身で子どももいないけど」
「写真ないの?」
田所君は、私の独身アピールをことごとく無視した挙句、マキの写真を見せろという。

私はスマホの写真をスクロールして、田所君に見せた。
「ほら、これがマキよ」
「えっ…変わったね」
3倍ほどに増えた体重。ぼさぼさの髪。子供を抱く太い腕。
「マキ、子供産むたびに太ってね。すごい貫禄よ」
「へ、へえ…」
田所君は「じゃあ」と立ち上がり、他のグループのところへ行った。
急に興味を失くしたようだ。もっとも最初から、私に興味があったわけではない。

2次会を辞退して家に帰ると、風呂上がりのマキが私を出迎えた。
「おかえり、お姉さん。同窓会どうだった?」
スッピンなのに、35歳とは思えないほど若くてきれいでスリムなマキは、本当は独身で実家暮らしだ。
さっき田所君に見せた写真は、先日遊びに来た従妹の写真。
3人の子持ちで、子供を産むたびに太った従妹の写真だ。

「ねえ、お姉さん、同窓会に田所さん来てた?」
「うん。来てたよ」
「彼、結婚してるの?」
「うん。3人の子持ちだって。髪の毛も薄くてさ、おまけに太って太鼓腹よ。昔の面影はないわね」
「そうなの?」
「うん。子供産むたびに太ったんだって」
「まあ…。思い出は、きれいなまま取っておいた方がいいってことね」
「そうだね」
「あれ、お姉さん、田所さんは子供産まないでしょう?」
あ……やべえ。


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主婦ブロガーの願い事 [コメディー]

あら、願い事をひとつ叶えてくれるの?
ひとつか…、悩むわね。
私はね、もともと専業主婦になりたかったの。
だけど現実は、家事と仕事と子育てに追われて、自分の時間もないのよ。
楽しみはブログを書くことだけよ。専業主婦の方が羨ましいわ。

― では、願い事は「専業主婦になる」でいいか ー

あっ、待って。専業主婦になってもお金がなかったら仕方ないわ。
お出かけも、ママ友とランチも出来ず、節約に追われる毎日なんて。
ブログのネタにも困っちゃうわ。
宝くじでも当たって大金持ちになるならいいけど。

― では、願い事は「宝くじが当たって大金持ちになる」でいいか ー

待って、待って。
そんなことでお金持ちになったら、ろくな人生じゃないわ。
ブランド品を買い漁ったり、店ごと洋服を買うような女になるわ。
もっと違う方法でお金が入るほうがいいわ。
そうだ。このブログが評判になって出版されてベストセラーになるのはどうかしら。
それで私はテレビに出るの。クイズ番組とか、バラエティとか、あとは、ドラマとか。
それでね、アイドルのTくんやKくんに会って「ファンです」とか言われるの。
「いや、私の方こそファンです」って。
ヤバくない?

― では、願い事は「ブログが評判になって本になる」でいいか ー

やっぱりダメ。
だってもしもTくんやKくんに誘われて不倫しちゃったら大変。
SNSで悪口書かれるわ。「ブスのくせに」って。
ブログも炎上しちゃう。
それに、そんなことで大切な家族を失いたくないわ。

― では、願い事はどうするんだ ー

待って。もう少し時間を…。
はっ、やだ、もうこんな時間。夕飯の支度をしなくちゃ。
ねえ、夕飯のメニュー考えてくれない?

― わかった。では1週間分のメニューを、おまえの脳に送る ー

えっ、ちょっと、それ願い事じゃないから。
ああ、消えちゃった。

でも考えてみたら、毎日の悩みって夕飯の献立くらいだわ。
さて、サバの味噌煮作ろう。あら、メニューが次々浮かぶわ。
お料理ブログに変更しようかしら。


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