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眼精疲労 [コメディー]

最近さー、目が痛くてさー、ネットで調べたら「眼精疲労」ってヤツらしい。
そんで、ネットでツボとか調べて押してみたんだけどさー、ぜんぜん治らなくて。
ネットで眼科も調べたんだけどさー、いまいちいいところがなくてー。
そもそも原因って何かなーと思ってネットで調べたんだけどさ、いろいろ書いてあって読むの疲れちゃってー。
友達に聞こうと思ってSNSやりまくったんだけどー、
『遠く見ればいいんじゃない?』
『緑を見るといいらしいよ』
『森に行け、森に』
って感じでさー、役に立たないんだよー。ねえ、原因なんだと思う?
あっ、やばい! やられる! あああー
よっしゃ! ステージクリアしたー。

彼女はずっと猫背でスマホのゲームをしながら、眼精疲労の相談をする。
ぜったい原因それだろ!

あああー、目が痛い。ねえ、次のステージ、超むずかしい!
それでさ、どうすれば治るかな? 眼精疲労。(だめだ、こりゃ)

*********

実はこのところ、ちょっと体調が悪いです。
たぶん眼精疲労が原因だと思います。目の奥が痛い。
頭痛、肩こりなど滅多にしないのに、頭ズキズキで肩は張るし。
初めてバファリンの偉大さを知りました(今まで飲んだことがなかった)

会社でもパソコンの仕事が多かったし、家でもパソコンやっていたからかな。
目薬つけても全然効かず、よく見たら「ものもらい用」の目薬だった。
ダメじゃん!

そんなわけで、更新がちょっと遅れてしまいました。
コメントくださった方、返事が遅くてすみません。
ようやく体調も戻ってきたので、少しずつペースを戻します。

KIMG0231.JPG


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妄想ボーイカフェ [コメディー]

日曜日の午後3時、僕がバイトするカフェに、吉田さんが来た。
カフェは僕らの町から少し遠くて大人の雰囲気だから、同級生は滅多に来ない。
まさか学校一の美少女が来るなんて。今日シフト入れてよかった。
制服を着ていない彼女を見るのは初めてで、ドキドキした。

「あれ? E組の矢代君だよね。ここでバイトしてたんだ」
「吉田さん、俺のこと知ってるんだ」
「知ってるよ。同じ学校だもん。それに、矢代君、けっこう女子に人気あるよ」
「え、そんな、まさか~」

「おい、矢代、何ぼーっとしてるんだ。早く注文聞け」
店長に言われて正気に戻った。
いけない、いけない。つい、妄想しちゃった。
「カプチーノ」と吉田さんは、僕の顔も見ずに言った。
カプチーノ飲むんだ。可愛いな。
「450円です」
おつりを渡すとき、ちょっと手が触れた。またドキドキした。

「ねえ、矢代君、バイト何時まで?」
「4時までだけど」
「じゃあ、買い物つきあってくれないかな。私、テニスラケットが欲しいんだけど、ひとりで選べなくて。矢代君、中学の時テニス部だったんでしょう」
「あ、うん。俺でよければ」

「おい、矢代、カプチーノ早くしろ」
あっ、また妄想しちゃった。
吉田さんが、僕の中学時代を知るわけがない。
カプチーノを受け取ると、吉田さんは僕の顔を見ることなく奥の席に消えた。

「矢代君、お砂糖もうひとつもらっていい?」
「いいよ。吉田さん、意外と甘党だね」
「…白状するわ。矢代君と話したかったの。砂糖は口実」
「えっ?」
「太ったら、責任とってよ」

「おい、矢代、次の注文聞け」
また妄想しちゃった。
その後もそんなふうに妄想は続き、僕は5回くらい店長に怒られた。

バイトを終えて店から出ると、吉田さんが立っていた。
「ねえ、E組の矢代君だよね」
「あ…、うん」
「あたし、同じ高校なの」
「知ってるよ。A組の吉田さんでしょ」
吉田さんはにっこり笑った。ああ、これも妄想か。

「矢代君、うちの高校、バイト禁止だよね」
「あ、うん、でもさ、割とみんなやってるよ」
「ばれたらヤバいよね。下手すると停学だよ」
「それは、困るな」
「じゃあ、口止め料、ちょうだい」
「はっ?」
吉田さんが手を出した。ヘビーな妄想だ。

「買い物しすぎちゃったの。カプチーノ注文した後、財布に50円しか残ってなかったの。帰りの電車賃がないの。マジで焦ったとき、ぼーっとしたバイトに見覚えがあったの」
「あ…、お役に立ててよかったよ」

妄想だ。きっと妄想だ。
だけど僕の財布からは500円玉が消えていて、翌日吉田さんを見かけても、まったくときめかなかった。
あれって、恐喝だよな~。


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メモリー銀行 [コメディー]

いらっしゃいませ。
こちらはメモリー銀行でございます。
お預かりするのは金銭ではございません。
あなたの、あらゆる記憶をお預かりいたします。

仕事関係の方の名前、役職、電話番号、特徴、趣味など。
大切な方の誕生日、記念日など。
それから、カーテンや家具の寸法。急な買い物に便利です。
もちろん、いろいろなIDやパスワード。
今は、これを預ける方がいちばん多いです。
IDとパスワードを忘れたら、ログインが出来なくて大変ですものね。

セキュリティは万全です。ご安心ください。
ネズミ一匹さえも逃げられない刑務所ほどに万全です。
あっ、例えが悪かったですね。失礼しました。

お預かり方法は、ネットからでも、直接メモや名刺や写真をお持ちになっても結構です。どんなものでもお預かりいたします。
お引き出し方法は、パソコン、スマートフォン等にID,パスワード、暗証番号を入力してログインしていただきますと、全てご覧になることができます。

当行の会員になられますと、もう何も覚えておく必要がないのです。
全てはわたくしどもが管理いたしますので。
いかがですか。
只今キャンペーン中で、入会金が無料となっております。

そうですか。ありがとうございます。
では、こちらにお名前、ご住所、電話番号、会費引き落としの口座番号をお願いいたします。
それから、記憶を引き出す際のIDとパスワードと暗証番号を、こちらのモニターに入力願います。
IDとパスワードは、必ず半角英数字と記号を入れてください。
わかりやすいものではいけません。
なるべく難解な組み合わせにしてください。
それでは覚えられないって?
なるほど。では、そのIDとパスワードと暗証番号もお預かりいたしましょう。

それでは記憶の引き出しができないって?
ご安心ください。
そのうち、当行に預けたことも忘れてしまいますから。

ありがとうございました。


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ぼくんちのお盆 [コメディー]

お盆が来ると、たくさんの親戚が集まる。
叔父さん家族4人、伯母さん家族5人、東京に行った兄ちゃん。
お父さん、お母さん、おばあちゃん、おじいちゃん、中学生のぼく。
総勢15人が、居間に集まる。
ふすまを外して2部屋の仕切りをなくすと、旅館の大広間みたいに広くなる。

お母さんは朝から大忙しだ。
掃除に料理。納戸からお皿を出したり布団を用意したり。
おばあちゃんは手伝わないのに「あの皿の方がいいべ」とか「座布団足らんぞ」とか指図ばかりする。

宴会が始まると、お母さんは料理を並べたりお酒を出したりして、ちっとも座らない。
座ろうとすると決まって「好子さん、ビールがないぞ」と言われたり、「好子さん、ごめんなさい、お醤油こぼしちゃった」と言われたり、「好子さん、子供らにスイカ切ってやってくれ」と言われて、結局お漬物の一切れも食べられない。
ぼくが心配になって台所に顔を出すと
「どうしたの? 早く戻ってみんなと遊びなさい」と追い出される。
従弟たちと遊ぶのは楽しくて、結局お母さんのことを気にしていたのは最初だけだった。

宴会が終わるとお風呂の用意や布団の用意。そして後片付け。
汗を拭いながら、全部お母さん一人でやる。
お母さんがお風呂に入ったのは、おそらく午前0時を回っていた。

翌朝も、お母さんは働く。
誰よりも早起きで、みんなの朝ごはんを作る。
欠伸をしながら起きてきた叔父さんや伯母さんは、当たり前のように座っている。
「好子さん、うちの子、生たまごダメなのよ。目玉焼きにしてくれる?」
「あ、好子さん、うちもお願い」
「牛乳ないの?」「ご飯おかわり」「お茶入れてくれや」
みんな好き勝手言って、お母さんはそのたび台所と居間を行ったり来たり。

昼前にみんなが帰ると、お母さんはやっと座り、ゆっくりお茶を飲んだ。
お父さんと兄ちゃんは釣りに出かけ、おじいちゃんとおばあちゃんは畑に行った。
「お母さん、どうしてお母さんばっかり忙しいの? みんなに手伝ってもらえばいいのに」
「いいのよ。だって他の人に手伝ってもらったら、取り分が減るでしょ」
「ん? 取り分?」

夜になると、お母さんはおばあちゃんに封筒を渡した。
「お義母さん、昨日と今日の請求書です」

『準備費(掃除・布団干し含む)………30,000円
 夕食調理、配膳、後片付け……………50,000円
 床の準備(シーツ洗濯代含む)………10,000円
 朝食調理、配膳、後片付け……………30,000円』

「〆て12万円になります」
「好子さん、去年より高くないかい?」
「去年より、料理の腕が上がっていますから」
「仕方ないねえ。まあ、来年も頼むよ」
お母さんは「毎度あり」と言って、おばあちゃんからお金をもらっていた。

「お母さん、働いた分のお金、ちゃんともらっていたんだね」
「そうよ。だってね、おばあちゃん、叔父さんと伯母さんから10万円ずつもらっているのよ。何もやらないくせに独り占めさせるものですか」

お母さん、すげー。
ぼくは密かに、来年はお手伝いをしよう。1万円でいいや、と思った。


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お父さんのかくれんぼ [コメディー]

一家の大黒柱であるにも関わらず、私の存在感はティッシュペーパーよりも薄い。
「あら、お父さん、いたの?」と、毎日のように言われる。
ネコのミーコの姿が見えないと一家総出で探すくせに、私がいなくても誰も気づかない。

日曜日の朝、どうせ存在感がないのなら…と、ソファーの後ろに隠れてみた。
誰かが「あれ? お父さんは?」と言ったら、
「ここに居るぞ」と出て行こう。きっとウケるぞ。
「もう、お父さん、何やってるのよ」と、みんな笑うぞ。

妻が朝食をテーブルに並べている。
娘のカンナがリビングに来た。
「おはよう、お母さん、今日友達とカラオケ行っていい?」
「いいけど、ちゃんと勉強もするのよ」
「はあい」
息子のユウキが起きてきた。
「お母さん、ジョンの姿が見えないけど」
「車庫で寝てるわ。あそこ涼しいから」
「そっか。よかった」
おいおい、お父さんより犬の心配か。

3人で朝食を食べ始めた。「お父さんは?」と誰も言わない。
「そういえば」と妻が言った。いよいよか?
「お隣のおばあさん、見つかったんですって」
「え? どこにいたの?」
「それがね、家の中にいたんだって。押し入れに隠れてたらしいの。まあ、年を取ったら子供に戻るっていうけど、かくれんぼでもしているつもりだったのかしらね」
「徘徊じゃなかったんだ。人騒がせだね」
「姿が見えなくて心配したけど、よかったわ」
隣の他人より、夫の心配をしろ。

けっきょく誰の口からも、「お父さんは?」という言葉は出なかった。
そもそも私の朝食はあるのだろうか。覗いてみると目玉焼きが3つ。
朝食すら用意されていないのか。ショックだ。
出るに出られず、ソファーの陰で悶々と時が過ぎるのを待った。
そしてリビングがすっかり静かになったころ、狭い空間を抜け出してようやく座った。

妻が掃除機を持って入ってきた。
また邪魔者扱いされるんだろうな…と思ったら、目を潤ませて
「お父さん!」と駆け寄ってきた。
「お父さん、いったいどこに行っていたの? ずいぶん探したのよ」
え? なんだなんだ?
「カンナ、ユウキ、お父さんが、リビングにいるわ」
妻が呼ぶと、カンナとユウキが走ってきた。
「お父さん、3年も何してたんだよ」
さ、3年? いや、私が隠れていたのは7時から9時までの2時間だが。
「お父さん、わたし、高校生になったよ」(知ってるし)
「お父さん、ぼく、中学でバスケやってるよ。身長10センチも伸びたよ」(知ってる。毎日見てるから)
3人が泣きながら私にすがりつく。いったいどういうことだろう。
だけど今、私は間違いなく必要とされている。富士山並みの存在感だ。
「さあ、お父さん、お腹すいたでしょう」
「お父さん、あのね、聞いてほしいことがいっぱいあるの」
「ぼくが先だよ。ねえ、お父さん」
「だめよ、お父さんのご飯が先よ」
ああ、なんて素晴らしい。家族が私の取り合いをしている。
夢か。これは、夢か。

ドンと足を蹴られた。
「もう、お父さん邪魔よ。なんでこんなところで寝てるのよ」
掃除機を持った妻が立っていた。
あ……やっぱり夢だった。
「ほら、朝ご飯食べちゃってよ」
テーブルに、目玉焼きがあった。
「これ、俺の目玉焼き?」
「そうよ。早く食べちゃってよ。片付かないから」
忘れられたわけではなかった。冷めた目玉焼きが死ぬほど美味い。
「お父さん、食べ終わったらジョンを散歩に連れてってね」
ガーガーと掃除機をかけながら妻が言う。
「あと、粗大ごみを捨ててきてほしいの。今日回収の日だから」

俺って、意外と必要とされている……のかな?


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お兄ちゃん [コメディー]

あれ、ジュンちゃん、どうしたの?
明日まで広島出張じゃなかった? 一日早く帰ってきたんだ。
そ、そうなんだ。
え? 何も慌ててないよ。やましいことなんかないよ。
あるわけないでしょ。会いに来てくれて嬉しいよ。

タバコ臭い? ああ、えっとね、昨日ユミが来たの。
ほら、あの子タバコ吸うから。
ベランダに男物の下着? ああ、それはね、えっと、防犯だよ。
ほら、女性のひとり暮らしは物騒でしょ。
だからね、しまむらで買ってきたの。しまむらブランド。いいでしょ。

洗面所に髭剃り?
ヤバ……、えっとね、最近女性ホルモンが足りないのかなあ~
髭が生えてきちゃって。へへへ。
でも大丈夫だよ。もう剃ったから。

寝室に男が寝てる?
あっ、えっとね、あの……、紹介します。兄です。
ひとりっ子だろうって? 
それがですね、生き別れの兄がいることが判明して、昨日涙のご対面。
……昨日はユミが来たんだろうって? ハハ、聞き逃さないねえ、さすがだね。
そうだよ。ユミに立ち会ってもらって3人で会ったの。
いやあ、話がはずんじゃってね、お兄ちゃん終電逃しちゃってさ、泊まってもらったの。

挨拶したいって? いやいや、お気遣いなく。
なんか、お兄ちゃん、よく寝てるし、今度ゆっくり紹介するから今日は帰って。
ごめんね、ジュンちゃん、また電話するね~。
あ、お土産のもみじ饅頭だけはもらっておくね。

は~、何とかバレずに済んだ。(いや、ふつうにバレてるだろ)

「おはよう」
「お、おはよう。あっくん。もう昼だよ」
「さっき、男の声がしたけど、誰か来たの?」
「あ、えっとね~、お兄ちゃん!」


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見える人、見えない人 [コメディー]

我が家はいわゆる「見える」家系だ。
パパもママも私も、生まれたときから幽霊が見える。
ただ、どういう訳かお姉ちゃんだけは「見えない」人だ。
霊感が全くない。
だからといって困ることなど何ひとつない。
霊なんて、見えないに越したことはないのだから。

そんな我が家に、ちょっと困ったことが起きた。
お姉ちゃんが、幽霊を連れてきてしまったのだ。
青白い顔の男の霊が、お姉ちゃんの肩に乗っている。

「どうする? パパ、ママ、教えてあげた方がいいかな?」
「あの子は怖がりだから、きっとパニックになるよ」
「悪い霊じゃなさそうだし、明日にはいなくなるでしょ」

お姉ちゃんはまるで気づかない。
「ああ、肩が重い。誰か揉んでくれない?」
「お姉ちゃん、揉んだくらいじゃ治らないよ」
「そうか。疲れがたまってるのかな。明日マッサージ行こう」
(マッサージでも治らないけどね)

翌日、お姉ちゃんに憑りついた霊は、いなくなるどころか二人に増えた。
血を流した男の霊だ。そして日を追うごとに、男の霊が増えていく。
「お姉ちゃん、会社で何かあった?」
「なにかって?」
「人がいっぱい死んだとか」
「あるわけないでしょ」
「じゃあ、心霊スポットとか行った?」
「究極の怖がりなのに、行くわけないでしょ」
「だよね。じゃあ、最近変わったことは?」
「何もないわよ。相変わらずの氷河期よ。いい男は結婚しちゃうし、合コンはハズレばかり。私のモテ期はいつ来るの?」
あ…、いつもの愚痴が始まっちゃった。退散しよう。

とはいえ、放っては置けないということで、知り合いの霊媒師のおばばに来てもらった。
「おばば様、うちの長女はものすごい怖がりなんです。霊が憑いていたと知ったら大騒ぎです。どうか寝ているうちに除霊してください」
「ふむ、見える家系に生まれたのに、見えない上に怖がりとは、不憫なことじゃ」

お姉ちゃんの部屋に行くと、ベッドの周りに霊たちがふわふわ浮いている。
何も感じないお姉ちゃんは、すやすやと寝ている。
「悪い霊ではないな。どれ、話を聞こう」
おばばが、霊たちひとりひとりに話しかけた。
私たちには霊は見えるけど、声は聞こえない。
ここはおばばに任せて、隣の部屋で除霊が終わるのを待った。

30分後、おばばがお姉ちゃんの部屋から出てきた。
「終わったぞ。もう大丈夫じゃ」
「なぜ、あんなにたくさんの霊が姉に?」
「恋じゃ」
「はっ?」
「あの霊たちは、あの子に恋をしたそうじゃ。しかし所詮、幽霊と人間の恋じゃ。叶わないと知って、みんな離れた。切ないのう。罪な女じゃ」

翌日、お姉ちゃんはすっきりした顔で起きてきた。
「今日は肩が軽いわ~」
「よかったね」
「今日の合コンは上手くいくような気がする。私にもやっとモテ期が来るかも」
…お姉ちゃん、もうモテ期、来たよ。
生きてる男じゃないけどね。


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彦星の愛人 [コメディー]

あら、織姫さん、いらっしゃい。
今日は7月7日。年に一度の面会の日ですね。
今、彦星さんを呼んできますね。
え? 私ですか? 私は彦星さんの愛人です。

でもご安心くださいね。
本妻は織姫さんだということは、重々承知していますから。
私は愛人の身ですから、364日一緒にいられるだけで充分ですのよ。
呼んでくるからお待ちくださいね。
彦星さーん。織姫さんが見えたわよ。
早くして。待たせちゃ悪いわよ。

ほらほら、子供の面倒は私が見るから。
子供いるんですか…って? はい。今3ケ月です。
あっ、ご安心ください。
認知はしてもらいましたけど、本妻の座を奪う気はさらさらありませんので。
名前聞きたいですか? 別にいい? そう言わずに聞いてくださいよ。
星羅月って書いて、セーラームーンっていう名前なんです。
変でしょ。キラキラネーム。彦星さんがつけたんです。

もう、早くしなさいよ。
星羅月、パパはお出かけだからママのところにいらっしゃい。
ほら、待たせたら織姫さんに失礼よ。
1年に一度しか逢えないんだから。

あれ? 織姫さん? いない。
帰っちゃったのかしら。どうして?
もう、1年に一度くらい出かけて欲しかったのに!


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ビールを買いに [コメディー]

夏の夕方、ずいぶん早く帰ってきたお父さんが、冷蔵庫を開けて「ああああ~」と大声を出した。
「ビールがない!」
お父さんは息子の啓太を呼んだ。
「啓太、角のコンビニでビールを買ってきてくれ。お父さん、疲れて歩けない」
「お父さん、僕は12歳だよ。未成年はビールを買っちゃいけないんだ。大人のくせに知らないの?」
「でもさ、おまえは12歳の割に背が高い。俺と大して変わらないだろう。変装すれば買えるさ」
犯罪じゃん、と啓太は思ったけれど、ちょっと面白そうな気もした。
お父さんのスーツを着て、帽子とサングラスとマスクをしたら小学生には見えない。
「おお、完璧だ。低い声を出すんだぞ」
「じゃあ、ちょっと行ってみる」
「角のコンビニだぞ。間違えるなよ」

外に出るなり啓太は、あまりの暑さに驚いた。
「お父さん、こんな暑いスーツで会社に行ってるんだ。大変だな」
啓太はすぐさま上着を脱いだ。
コンビニに着くと、ガラスに映った自分の姿を見てギョッとした。
「あれれ、まるでコンビニ強盗だ」慌ててサングラスを外した。
店内には、レジの女と男のバイト。立ち読みの高校生がふたりだけ。 
帽子を目深に被りコンビニに入ると、啓太は迷わずお父さんの好きなビールを2本かごに入れた。ついでにポテトチップを入れてレジに行った。
「いらっしゃいま……」
レジの女の手が止まった。啓太の顔をじっと見ている。
隣にいた大学生のバイトが「未成年っすよね」とささやいた。

レジの女は呆れたような顔で、バイトに言った。
「このビール、あたしが買うから、レジ代わって」
「え? いいんすか?」
女は素早くレジカウンターから出て、啓太の隣に並び、啓太の代わりに金を払った。
「あのね、小学生はビールを買っちゃいけないのよ」
「へへへ、ばれたか」
「じゃあ、もうすぐ仕事が終わるから、ここで待ってなさい」
「はい、お母さん」

レジの女は、啓太の母親だった。
お父さんとケンカして家を出たお母さんは、近所のコンビニで働きながら、ときどき啓太の様子を見に行っていた。
「お母さん、ここで働いてたんだね。お父さん、知ってたのかな」
「昼間なら見つからないと思ったのに、どこかで聞いたのね」
「ねえ、お母さん、家に帰って来てよ。お父さんとふたりだと面倒くさいよ」
「そうね。子供にビールを買いに行かせるお父さんじゃ、しょうがないわね。きつく叱ってあげるわ」
「ほどほどにしてよ。またケンカになるから」

その頃お父さんは、シンクにたまった洗い物を片付けながら、時計を見た。
「そろそろ帰ってくるかな。啓太とお母さん」


*****
童話賞に応募しようと思って考えた話ですが、犯罪めいた話じゃさすがにダメだろう……ってことで、やめました(笑)


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遠足に行きたいの [コメディー]

おやつをリュックに詰めて、テルテル坊主を吊るして、楽しみに楽しみにしていた遠足なのに、その朝突然熱が出て行けなくなる。
私は、そんな子供だった。

そして大人になり、念願の教師になって初めての遠足。
副担任として生徒たちを見守りながら、楽しく過ごすはずだった。
それなのに、遠足の朝、私はまた熱を出した。
かなりの高熱で、遠足どころかベッドからも起きられない。
担任の田中先生に電話をしたら、「仕方ないわね、ゆっくり休みなさい」と言ってくれた。

ひと眠りした午前10時、熱がすっかり下がった。
これも子供のころと同じだ。きっと精神的なものなのだろう。
起きたら母は出かけていて、ラップでくるんだおにぎりが置いてあった。
「お母さん、ありがとう。せめて遠足気分で食べなさいということね」

子供の頃は、泣きながらお弁当とおやつを食べた。
だけど私は、もう子供ではない。自動車を運転することができる。
今から車で遠足の場所に向かえば、お弁当の時間に間に合うかもしれない。
運転は割と得意だし、下見で一度行ったから場所もわかる。
ナビに頼れば最短コースを教えてくれるかも。

急いで着替えて車に乗った。行き先は、ぽんぽこ公園。
可愛い生徒たちが待っている。自慢じゃないけど、これでも割と生徒たちに人気がある。
バスの中でのクイズ大会や合唱に参加できないのは寂しいけれど、思い出は十分に作れるだろう。

道路は渋滞もなく、2時間足らずで公園に着いた。
車を降りて生徒たちを探したけれど、どこにもいない。
そういえば、駐車場にそれらしきバスもない。
とっくに着いているはずなのに、いったいどういうこと?

まさか、途中で事故に遭ったとか。
バスごとガードレールを突き破り崖下に転落したとか。
いやだ。子供たちは無事だろうか。
私は慌ててスマホを取り出し、田中先生に電話をした。
…… 出ない。田中先生、まさか死んじゃった?

嫌な予感を振り払って、学校へ電話した。
誰も出ない。きっとみんな事故の対応に追われているのだ。
ネットニュースに出ているかもしれない。
スマホを開いたが、そういったニュースはない。
事故を起こして間もないから、まだニュースになっていないのかも。
もしかしたら、崖下からまだ発見されていないのかも。
なんてことだ。生徒たちが血を流して苦しんでいるときに、私だけ無事だなんて。

とりあえず、来た道を戻ってみようと思った。
きっとあの細い山道だ。前にも事故があったと聞いている。
車に戻って動揺しながらエンジンをかけたとき、スマホが震えた。
「あ、た、田中先生からだ。もしもし、先生、大丈夫ですか?」
「それはこっちのセリフでしょ。春山先生、もう熱は下がったの?」
「私のことより、生徒たちは? 先生は?」
「何言ってるの?」
「遠足は、どうなりました? 今どこです?」
「遠足は無事に終わったわよ。昨日ね」
「き、昨日?」
「夜あなたに電話したのよ。お母様が出て、死んだように眠っていますっておっしゃっていたわ」

あ、もしかして私、丸一日寝ていた? 
「疲れが出たんじゃない? 初めての副担任で。まあ、今日は土曜日で学校もお休みだし、月曜日に元気な顔見せてよ。じゃあね」

事故じゃなかった。遠足は無事に終わった。(昨日)
何だか力が抜けたら一気にお腹が空いた。
ぽんぽこ公園の芝生の上で食べたおにぎりは、しょっぱかった。
遠足に行けなかったことが悲しかったのか、みんなが無事だったことが嬉しかったのか、自分でもわからないけど泣いていた。

さあて、帰ろう。家に着くまでが遠足よ。


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