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長い乾杯 [コメディー]

ご指名をいただきました長井です。
僭越(せんえつ)ながら、乾杯の音頭をとらせていただきます。

あきらくん、みさきさん、ご両家の皆さん、本日はまことにおめでとうございます。
あきらくんが我が社に入社いたしましたのは、5年前の4月のことでございます。
桜はまだ3分咲きといったところでした。
入社して一週間のころ、桜は満開になり、恒例の花見をすることになりました。
私はあきらくんに場所取りをするように言いました。
新入社員が最初に任される大役なのです。
すると、あきらくんは言いました。
「なんで場所取りとかするんすか? それって業務と関係あるんすか? だいたいこのクソ寒いのに外で花見って、頭悪いっすよね」

私はいたく感心しました。
上司に向かって堂々と意見を言えるなんて、私たちの時代では考えられません。
こいつは大物だと思いました。

その後、あきらくんは大きな契約をとってきました。
聞けば御父上が、地元ではかなり有名な建設会社の社長さんだそうで、コネを使いまくってとった契約だったそうです。
何はともあれ我が営業部の成績がぐんと上がったのは、嬉しい限りでございます。
この場を借りて、お父様にお礼申し上げます。
その後、契約書の数字を一桁間違えたり、商談中にスマホでアイドルの画像見ていたりしましたが、ご心配なく。
こっそりフォローしているのは、この私ですよ、お父様。

新婦のみさきさんは、とても聡明なお嬢さんです。
玉の輿を狙って合コンに行き、見事にできちゃった婚まで漕ぎつけた努力と執念には感服いたしました。
教会の挙式では、元カレが乱入するという珍事もございましたが、強面の方々が丸く収めてくださりホッといたしました。
「ちょーあせった~、マジかんべん」と、つぶやくみさきさんに、ちょーウケました。
あっ、失礼いたしました。

えー、おふたりが幸せな家庭を築かれることを心より願いながら、カンパイ!
あれ? みなさん、もう飲んでる…
「なげーよ」
「マジかんべんだっつうの」


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不公平な2月 [コメディー]

世の中は不公平だ。
それを知ったのは、小学生になった2月のあの日。

僕と隼人は赤ん坊の時からずっと仲良しで、幼稚園では一緒に孫悟空の役をやったし、勉強も運動も、同じくらいに出来た。
それなのに2月14日、隼人はランドセルに入りきれないほどのチョコレートをもらった。
「オレには?」と言ったら、
「なんで山田君にあげるの~? バレンタインチョコは好きな人にあげるんだよ~」
と言われた。
そうだったのか。いつも母ちゃんと姉ちゃんが当たり前のようにくれたから、女が男にチョコをくれる日だと思っていた。
ん? つまり、クラスの女子たちは、隼人を好きで僕を好きじゃないってこと?
よく見ると、確かに隼人はかっこいい。
世の中って不公平だな。

その後も、2月14日、隼人はたくさんの女子にチョコをもらって告白された。
僕は相変わらず、母ちゃんと姉ちゃんと保険のおばさんにもらったチョコをチビチビ食べた。
中学、高校と野球部に入った。
モテない理由を坊主頭のせいにしたかったからだ。
だけど一緒に野球部に入った隼人は、坊主頭にもかかわらずやっぱりモテていた。
不公平だ。

そして僕は大学生になった。
成績が同じくらいの隼人とは、大学も一緒だった。
いい加減離れたいとも思ったけれど、やっぱり気の合う親友同士だ。
一緒にいると楽しいけれど、引き立て役になっているようで、たまに切なくなる。

「ねえ、山田君、合コンしようよ」
女の子から、やたらと誘われる。
「私女の子集めるからさ、山田君は男の子集めて。それでね、ぜったい隼人君に声をかけて欲しいの。ね、お願い」
つまり、みんな隼人狙いだ。だったら隼人に声をかければいいのに、「ムリ、胸キュンで死ぬ」だってさ。

合コンではもちろん隼人のひとり勝ち。
だけど隼人は誰にもなびかない。クールなところがまたモテる。

「あーあ、隼人はいいなあ。今年もいっぱいチョコをもらうんだろうな」
「え、なに山田、チョコ欲しいの?」
「そりゃあ欲しいよ。誰かオレに本命チョコくれないかな」
「そうか。チョコってそんなに欲しいものなんだ」
ちくしょう。モテるやつの余裕の発言だな。

19歳の2月14日、今年も母ちゃんと姉ちゃんと保険のおばさんの3チョコだと諦めていた僕だったが、ついに、ついに、生まれて初めての本命チョコをもらった。
ずっと僕のことが好きだったと言ってくれたその人は、モデルみたいなきれいな顔をした18年来の親友だった。

嬉しいよ。いや、ホントに嬉しいけどさ、
なあ隼人、オレはいったいどうすりゃいいのさ。

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30歳、職業「鬼」 [コメディー]

はじめまして。
はあ…、プロフィールに書いてある通りです。
職業は「鬼」です。
どんな仕事かというと、映画の鬼役とか、子供向けイベントの鬼役とか、あとは何といっても節分の鬼です。
2月は稼ぎ時ですよ。すでにオファーが殺到しています。
収入の面では、問題ないかと。

鬼役だけで一生食べていけるのかって?
ええ、確かにCGやメーキャップの技術は上がっていますがね、本物にはかなわないわけですよ。
そうです。僕は本物の鬼です。

今では数少ない、鬼の末裔なんですよ。
ご先祖様はね、こぶとりじいさんと踊ったり、桃太郎と戦ったり、青鬼の手紙読んで泣いたりしたんですよ。
今ではすっかり人間に馴染んで、角も牙も退化してしまいましたがね。

それでね、ここからが本題なんですが、
実は鬼の世界も少子化でしてね、女の鬼が少ないんですよ。
しかも最近は、人間と結婚してしまう女が増えて困っているんです。
ほら、鬼嫁っているでしょ。
あの中に、本物いますよ。

まあ、僕も今年で30ですから、本気で結婚したいんです。
もう人間の女で妥協しようかと思っているんです。
次の節分で、彼女をお披露目したいんですよ。
だから、お願いです。
福子さんを嫁にください。

え? なに豆なんか取り出してるんですか。
用意がいいですね。まだ1月ですよ。
やっぱりそうきます?

「オニは~そと、ふくは~うち」


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大掃除応援団 [コメディー]

年末だけど、大掃除なんてやりたくないな。
だって、掃除してもしなくても、お正月は来るでしょう。
あー、面倒くさい。

な~んてひとりで愚痴っていたら、どこからか笛の音が聴こえた。
見ると、冷蔵庫と食器棚の間から、学ランを来た小人たちが出てきた。
整列して、腕を後ろに組んで
「フレー、フレー、おくさん!」
なんて小さくて可愛い応援団。
だけど、みんなすごい埃。冷蔵庫と食器棚の間が埃だらけなのね。
細いモップで冷蔵庫と食器棚の間の埃を取ると、小さな応援団たちもすっかりきれいになった。

小さな応援団たちは、次はカーテンレールの上を並んで歩いた。
「フレー、フレー、おくさん」
小人さんたちの足の裏が、たちまちまっ黒になった。ずいぶん掃除してなかったわ。
脚立に乗って、雑巾できれいにカーテンレールを拭くと、小さな応援団たちもすっかりきれいになった。

小さな応援団たちは、今度は洗面所の鏡の上を滑り始めた。
「フレー、フレー、おくさん」
小さな学ランが、白く汚れた。水垢がすごかったのよ。
洗剤をつけて磨いたら、小さな応援団たちの学ランもすっかりきれいになった。

そんなこんなで、家の中はピカピカになった。
障子のさん、ブラインド、窓ガラス、蛍光灯。
小さな応援団のおかげで、楽しく大掃除が出来た。
「ありがとう。可愛い応援団たち」
心地よい疲れだ。
ピカピカの床にごろんと横になると、小さな応援団たちが、私の顔の上に乗ってきた。
「フレー、フレー、おくさん。フレー、フレー、おくさん」

…いや、どんなに応援されても、私の顔はこれ以上きれいにはならないわ。


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神ってる [コメディー]

毎日忙しく働いているのに、どうしてこんなに貧乏なのかしら。

「貧乏ヒマなしっすね」
ん? だれ? この部屋には私しかいないけど。

「あー、ちょっと掟とかあってー、姿が見せられないっすけど、一応、神っす」
「神?」
「そう、流行語で言えば、神ってる
「神様なら何とかしてよ。宝くじ当ててくれるとか」
「無理っす。おれ、貧乏神っすから」
「貧乏神! やだ、どうしてうちに?」
「あー、まじ一目ぼれっす。流行語で言えば、アモーレ
「いつからいるの?」
「キミがポケモンGOを夢中でやってた頃っす。最近やらないっすね」
「もう飽きたわ。それよりどうすれば出て行ってくれる?」
「キミより美人を紹介してくれたら考えてもいいっすよ」
「うちのお姉ちゃん、すごい美人よ。人妻だけど」
「人妻はダメっす。不倫になっちゃう。流行語で言えばゲス不倫
「目に見えないんだからいいでしょう」
「いや、倫理的な問題っす。一応神なんで」
「じゃあ、友達のA子、可愛い子よ」
「うーん、女友達の可愛いは信用できないっす。話盛るから。流行語で言えば盛り土
「いやそれ、意味ちがう」

「ところであなた、今まで誰のところにいたの?」
「ピコ太郎さんのところっす。PPAPが世界的な人気になって、居づらくなって出てきたっす」
「いいなあ、一発当てたら大金持ちか。私もお金があったらゆっくり旅行したいな」
聖地巡礼の旅ならお供しますよ」
「温泉がいいわ」
「じゃあ一緒にトランプしちゃいましょう。流行語で言えばトランプ現象
「意味ちがうって」

「あーあ、マイナス金利とか言っても、景気はちっともよくならないし。ねえ、この景気の悪さもあなたのせい?」
「ちがうっすよ。国の景気まで貧乏神のせいにされたらかなわないっす」
「じゃあ、最後の流行語行くわよ。日本死ね


*****

2016年の流行語大賞10コを盛り込んでみました。
数年後に読み返せば懐かしいかも。
だけど「保育園落ちた日本死ね」は、書きづらいわ~
「びっくりぽん」を選んでほしかったな。


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七五三なので [コメディー]

「すまないが誰か、明日休日出勤してくれないか?」

「………」

「鈴木君、どうかな、明日出てくれるかね」

「すみません、課長。明日は娘の七五三でして」

「そうか、七五三なら仕方ないな。吉田君はどうだ? 君は子供いないだろう」

「すみません、課長。明日は甥っ子の七五三パーティに招待されてます」

「そうか。パーティじゃ仕方ないな。石川君はどうだ? 君は一人っ子で独身だ」

「すみません、課長。僕の実家は神社でして、明日は七五三で大賑わい。手伝いを頼まれました」

「そうか、家が神社じゃ仕方ないな。桂木さんはどうかな? 独身だし、実家もたしかサラリーマンだったね」

「すみません、課長。私は明日、不倫相手の子供が七五三なので、ちょっと嫌がらせにでも行こうかと」

「そうか。嫌がらせなら仕方ないな。白井さんはどうかな? お子さんはもう大きいし、不倫もなさそうだ」

「すみません、課長。飼ってるネコが七五三で」

「そうか。ネコが七五三なら仕方ないな。新入社員の荒木君、君はどうかな? 独身だし、寮だからペットもいないだろう」

「すみません、課長。ネットの中で育ててる美少女のクルミちゃんが、めでたく七五三を迎えました」

「そうか。クルミちゃんが七五三なら仕方ないな。うーん、どうしよう」

「課長が出たらいいじゃないですか」

「いや、私は明日7・5・3の三連単で勝負しようと思ってるんだ」

「ああ、競馬ですか。競馬なら仕方ないですね」

「…というわけで、すみませんが部長、出勤してください」

「ふざけるな!!」

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ハロウィンと社長 [コメディー]

その1 ハロウィンパレード

「なんだねキミ、この行列は」
「ハロウィンパレードですよ、社長」
「うっ!…い、いつもの発作が…うぅぅ」
「社長、しっかりしてください。でも大丈夫ですよ。実に運がいい。ほら、こんなにナースがたくさんいます」
(いや、仮装だからね)


その2 ご招待

「明日、取引先のハロウィンパーティに招待されているんだが、キミも来てくれ」
「はい、社長。ですが明日は親戚の葬式なので、少し遅れるかもしれません」
「かまわんよ」
「途中で抜けて、なるべく早く行きますので」
「急ぐ必要はない。火葬してから来るように言われているから」
(いや、だから仮装だってば)


その3 ハロウィンパーティ

「社長、遅くなりました」
「ああ、キミか。ちゃんと仮装してくるなんて、なかなかやるな」
「それにしてもすごいパーティですね」
「ああ、ゾンビだらけだ」
「本物のゾンビみたいですね」
「キミは本物のゾンビを見たことあるのかね?」
「ええ、実は葬式に行ったら、死んだはずの親戚がゾンビになっていました」
「そ、それでキミ、まさか…」
「はい、噛まれて私もゾンビになりました」
(仮装じゃなかったのね~)

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みなさん、ハッピーハロウィ~ン ♪


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毎日ネコノミクス [コメディー]

喫茶店で、二人の女がテーブルをはさんで座っている。
ひとりは大のネコ好きの女(自称:永遠の18歳)
ひとりはネコアレルギーの女(アラフォー)

「あなた、うちの主人とどういう関係なの?」
「だから~、さっきから言ってるじゃにゃいですか。鈴木さんとわたしは、ただのネコ友にゃんです」
「ネコ友?」
「奥さんがネコアレルギーだから、鈴木さん、ネコカフェに通ってるんですよぉ。そしてわたしも、ペット禁止のマンションに住んでいるから、ネコちゃんに会いたくてネコカフェに行ってるんですぅ。そこで知り合っただけにゃんです」
「うそよ。夫を返してよ。このどろぼうネコ!」
「え、どろぼうネコ[黒ハート] いや~ん、わたし、ネコですか」
「なに喜んでるのよ。猫なで声なんか出して気持ち悪い」
「え、ネコなで声[黒ハート] 私の声、そんなにカワイイ?嬉しいんですけどぉ」
「だから褒め言葉じゃないわよ。変な人ね」

「奥さん、コーヒー飲まにゃいんですか?」
「放っておいて。猫舌なのよ」
「え、奥さん、ネコ舌[黒ハート] いいにゃあ~、ネコ舌[黒ハート]
「何がいいのよ。あのね、あなたまだ若いんだから若い人とつきあいなさいよ。主人のような猫背の中年男、どこがいいの?」
「え、鈴木さん、ネコ背[黒ハート]きゃわいい~。好きになっちゃうかも~」
「やめてよ。とにかく主人とはもう会わないで」
「だったら鈴木さんのおうちでネコちゃんを飼ったらいいじゃにゃいですかぁ。そしたら鈴木さん、ネコカフェに来にゃくなりますよ」
「だから、私はネコアレルギーなのよ」
「お庭にネコちゃん専用の小さなおうちを建てればいいじゃにゃいですか」
「猫の額ほどの庭にどうやって建てるのよ」
「え、ネコの額[黒ハート] きゃわいいお庭ですね。今度見に行っていいですかぁ」
「ダメに決まってるでしょう」

「じゃあ、今度、奥さんも鈴木さんといっしょにネコカフェに来ればいいんですよぉ。そうすれば、わたしたちがただのネコ友だってわかりますよぉ」
「行かないわよ。さっきから言ってるけど、私はネコアレルギーなの」
「それ、もう治ってるんじゃにゃいですか?」
「どうして?」
「だって、ここ、ネコカフェですよ」

ニャー、ニャー、ニャー

「にゃんてこった!」

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*写真は、はるさんちのそらくんです

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宿題屋 [コメディー]

もうすぐ夏休みが終わる。プールにかき氷に花火。
楽しい時間はあっという間。残っているのは憂うつだけだ。
宿題が終わらない。
絵と漢字ドリルと自由研究は何とか終わった。
だけど苦手な算数ドリルと読書感想文が手つかずのままだ。
ああ~、どうしよう。

と思っていたら、窓を叩く音がした。
開けてみるとおばあさんが立っている。
「宿題屋だが、終わってない宿題はないかね」
「宿題屋?」
「1教科たったの千円だ。どうだい?」
超苦手な算数ドリルと読書感想文をやってもらえるなんてラッキーだ。

「ちょっとまって」とボクは、貯金箱をひっくり返した。
取っておいたお年玉が千円と、小銭が500円。
「算数ドリルと読書感想文をお願いしたいけど、1500円しかないんだ。まけてくれる?」
「そいつは困ったね。じゃあこうしよう。算数ドリルは全部やって、読書感想文は半分だ」
ボクは考えた。読書感想文なんて、決まった枚数があるわけじゃないし、半分書いてもらえたらあとは『おもしろかったです』とか適当にまとめればいいんだ。
「うん。じゃあそれでお願いします」
ボクは、1500円払って、おばあさんに算数ドリルと課題図書と原稿用紙を渡した。

おばあさんが来たのは夏休み最後の日だった。
「おばあさん、遅いからヒヤヒヤしたよ」
「すまん、すまん。算数ドリルが思いのほか手こずってのお。でもほら、ちゃんと終わったぞ。全問正解だと怪しまれるから、ところどころ間違えておいたぞ」
「サンキュー。気が利くね。さすが宿題屋だ。それで、読書感想文は?」
「ああ、ほい、これじゃ」
おばあさんは、何も書いてない原稿用紙をそのまま戻した。
「何も書いてないじゃないか。半分書いてくれるって言っただろう」
「ああ、半分はやったよ」
「何も書いてないよ」
「読書感想文の半分は、本を読むことだ。あたしゃ、しっかり本を読んだからね、あとはあんたが書きなさい」
「そ、そんな~」
おばあさんは「ひひ」と笑って「毎度あり」と帰って行った。

時計の針は午後5時半。
今から読書感想文を書くのか。…っていうか、本を読まなきゃ。
あ~あ、終わるかな~。

ボクは泣きそうになりながら、「来年のお年玉はちゃんと取っておこう」などと、懲りずに思ってしまうのだった。(教訓になってない)

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いい意味で [コメディー]

初めまして。こんにちは。
お電話では失礼しました。
急にコンサートに行けなくなって、チケットが無駄になるところでした。
いろいろ声をかけて、やっと買ってくださる方がいて助かりました。
電話の声がきれいだったから、どんな美人が現れるかとドキドキしていましたけど、庶民的な方でよかったわ。
あ、いい意味でね。

コーヒーでも飲みながらお話しましょ。
失礼ですけどおいくつですか?
1955年生まれ? まあ、わたしと同じだわ。
てっきり、わたしよりずっとおねえさんかと。
あ、いい意味でね。

同じ年だったら高校はどこ? 地元じゃないの?
あら、東京出身なの?
意外だわ。だってとても素朴な方だから。
あ、いい意味でね。

あら、ブラックで飲むんですか?
お砂糖3杯くらい入れるのかと思っちゃいました。
ふくよかでいらっしゃるから。
あ、いい意味でね。

忘れないうちにチケット2枚ね。16000円です。
毎度あり。うふふ。
どなたと観に行くの? まあ、ご主人と?
仲がよろしいのね。
うちの主人なんか会社を経営してるから、忙しくて一緒に出掛けることなんてありませんわ。
おたくのご主人、おヒマな方で羨ましいわ。
あ、いい意味でね。

ご主人ってどんな方?
え? 20歳年下? 身長182センチ?
レストランチェーンのオーナー? あの有名な?
写メがあるの? どれどれ。
やだ…イケメン。
もしかしてすごく性格悪いとか。暴力振るうとか、浮気するとか。
あらそう。真面目で優しいの。へえ…。
幸せすぎて怖いって…
あんたホントにムカつく女。
あ、もちろんいい意味で。

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