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定年後の計画 [コメディー]

「定年退職したら、旅行でもしようか」
「いいわね。宇宙旅行がいいわ。私、行きたい星があるの」
「宇宙か。危なくない? この前宇宙船がブラックホールに吸い込まれる事件があっただろう」
「あんなの稀よ。100年に一回の大惨事だわ」
「それもそうだな。地球にいても危険なことはあるしな」
「そうよ。この前、宇宙生物に噛まれて入院した人がいたわ」
「簡単にペットを捨てる時代だからな」
「ねえ、いっそどこかの星に移住しない? 政府も勧めているのよ。とにかく人口が増えすぎちゃって」
「それもいいな。人工じゃなくて、本物の海がある星がいいな」
「高いわよ。退職金、たくさん出るの?」
「そりゃあ出るだろう。100年も働いているんだぞ」
「昔は定年が60歳だって聞いたけど、早いわよね。残りの100年、どうやって過ごしたのかしら」
「寿命が違うだろう。そのころは100年生きれば長寿って言われた時代だ」
「100歳なんて、働き盛りよね」

「おっと、ボスから呼び出しだ。出かけてくる」
「気を付けてね。スカイハイウエイ、事故渋滞みたいよ」
「たまにいるんだよな。マシンに頼らずハンドル握るやつ。だから事故を起こすんだ」
「行ってらっしゃい」

「ボス、お呼びですか?」
「ああ、君、すまんが来月からポンコツ星の工場に出向してくれんか」
「え? 私、もうすぐ定年ですが」
「それなんだが、定年を120歳から130歳に引き上げることにした」
「えええ~」
「政府からの要請だ。人生150年と言われて久しいが、今や160歳、170歳はザラにいる。どうせなら働いて、税金を納めてもらおうというわけだ」

「ええ!ポンコツ星に単身赴任?」
「そうなんだ。家族は連れていけないんだ。体制が整ってないらしい」
「わかったわ。寂しいけど待ってる。10年経ったら私、128歳のおばあさんだわ」
「大丈夫。君は何歳になってもきれいだよ」
「ありがとう、身体に気を付けてね」

〈10年後〉
「ただいま。やっと終わった」
「あなた、おかえりなさい」
「ようやく定年だ。旅行の計画を立てよう」
「それがね、あなたがポンコツ星に行っている間に法律が変わってね、定年制度が無くなったのよ。生きてる間はずっと働くことになったのよ」
「そ、そんな!じゃあ、退職金はどうなるんだ」
「あなたが死んだ後に出るらしいわ。だから私、あなたより10年以上は長生きしたいの。っていうことで、アンチエイジングジムに行ってくるわ」

死ぬまで働きたくは…ない。


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