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氷河期がきた [コメディー]

氷河期がきた。
気温は常にマイナス40度。
どんなに着込んでも、たちまち全身が凍える。
ダウンジャケットを買わなければ。
夫と子供と私の、とびきり暖かいダウンジャケットを。

寒さに凍えながら、ショッピングモールにやってきた。
ここは暖房が効いて暖かい。氷河期を忘れる。
店には春物の服が並んでいる。
こんなブラウス、欲しかったのよね。
あっ、いけない。ダウンジャケットを買いに来たんだった。

「えっ、ダウンジャケット売ってないの?」
「はあ、もう春物に入れ替えちゃいました。もうすぐ3月なんで」
「だって、氷河期なのよ」
「そう言われましても、冬物はバーゲンで売り尽くしました。それよりお客様、この花柄のワンピースはいかがです? 色が白いからとても似合いますよ」
「あら、そう? じゃあ着てみようかしら」

ああ、結局春物買っちゃった。外は死ぬほど寒いのに春物買っちゃった。
テレビをつけたら、トップニュースは氷河期。
『マイナス40度だと、バナナで釘が打てますね』
と笑った女子アナの衣装はノースリーブ。真夏か!

「ママ、アイス食べたい」
「まあ、氷河期なのにアイス?」
「寒ーい時に暖かい部屋で食べるアイスはサイコーでしょ」
「まあ、言われてみればそうね」

親子でアイスを食べていたら、夫が帰ってきた。
「う~、寒かった。手も足もカチンコチンだ」
「すぐにお風呂沸かすわね」
「ビールある?」
「ないわよ」
「じゃあ、ひとっ走り買ってくるよ。風呂沸かしといて」
「この氷河期に、よくビールなんか飲むわね」
「アイス食ってる人に言われたくないよ」
「あははは。たしかに」

テレビのニュースは、芸能ネタに変わっている。
へえ、この人不倫してたんだ。氷河期なのによくやるわ。

『ここで、速報が入りました。この氷河期は、巨大な宇宙勢力が太陽の光を妨害したためだということがわかりました。地球政府が、ただちに抗議して交渉に向かう予定です』

「へえ、宇宙勢力だって。どうせまた金で解決するんだろ」
「私たちの税金が使われるのね。やってられないわ」
「おいおい、それ、俺のビール」

『さて、続きまして、今日の特集です』
ノースリーブにミニスカートのタレントが元気いっぱいに登場した。
『今日の特集は、氷河期でも遊べるテーマパークです』

「ママ、ここ行ってみたい」
「極暖のダウンジャケットが買えたらね」
春物のワンピースを買ったことは、家族にはナイショよ。ふふふ。

危機感ないな~、地球人、大丈夫か?

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神様派遣します [コメディー]

「はい、神様派遣センターです。どちらの神様をご所望でしょうか。はあ、学業の神様ですか。申し訳ございません。学業の神様は3月まで予約が入っておりまして。キャンセル待ちが125人となっております。なにぶん受験シーズンでございますから。安産の神様でしたら空きがございますが。それでは意味がない……。ごもっともでございます」

密着24時間。今もっとも注目される神様派遣業に密着した。
さっそく話を聞いてみよう。

「ええ、全国の神社の神様をご用意しております。今はみなさん、仕事やPTAや趣味で忙しいですからね、買い物もネットでする時代、神社に足を運ばずに神様を参拝できるシステムは、大変好評をいただいています」

センター長の木村は言う。
神様を商売にするなど言語道断との批判もあったが、いくつもの困難を乗り越えて来たという。

「トラブルも、たまにはありますよ。何でもいいから神様お願いっていうお客さまに、疫病神をお送りして叱られたことがあります」

木村は笑った。失敗を糧に、会社は成長したという。
こうした中にも、依頼電話は鳴り続ける。

「はい、神様派遣センターです。縁結びの神様ですか? はい、ちょうど空きがございます。すぐに向かっていただきますので、お名前とご住所を……はい? 家に来られるのは困る。たとえ神様でも他人を部屋に上げるのは嫌だと……。はあ、承知いたしました。では、ネット参拝をご希望ですね。パソコンですか?スマートフォンですか?……」

最近は、このようなネット参拝も増えているという。
神様派遣センターは24時間営業である。
深夜こそアルバイトに任せているが、殆どの時間はセンター長の木村自らが対応しているという。
これだけ依頼が多いと、相当の儲けがあるのではないだろうか。
赤裸々に尋ねてみた。

「儲けなんて全然ありませんよ。本当です。だってここには、貧乏神が常在しているんですよ。貧乏神を希望するお客様などいませんでしょう。何ならあなた、連れて帰ってくれます?」

木村は笑う。丁重にお断りした。
依頼電話は鳴り続ける。

「「はい、神様派遣センターです。あ、先ほどのお客様。学業の神様を予約なさいますか? 126人目のキャンセル待ちになりますが……はい? この際だから安産の神様でいい? 左様でございますか。では、安産の神様を手配いたします。お名前とご住所を……」

困った時の神頼み。どんな要望にも応えると、木村は笑った。

「だって、お客さまは神様ですもの」

密着24時。
神様派遣センターは、今日も眠らない。


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お歳暮こわい [コメディー]

高い垣根に囲まれた一軒家。こういう家は入りやすいと聞いた。
音を立てずに窓ガラスを割る方法は、先輩から教わった。
この家の住人が夕方まで帰らないのは調査済みだ。
慎重に、そろりと中に忍び込んだ。

空き巣なんて、本当はやりたくない。
だけど仕事はないし、親兄弟には頼れない。金がないんだ。
取り急ぎ、現金を探すが、なかなか見つからない。
現金を家に置かない主義か?

ピンポ~ン 玄関のチャイムが鳴った。
「宅配便でーす」
無視しようと思ったが、ちらりと覗いたら目が合っちまった。
「い、今行きます」
仕方がないので、住人のふりをして受け取ると、それはお歳暮だった。
お歳暮なんて、一度ももらったことがない。贈ったこともないけど。
「おお、ビールだ。いいな」
この家には現金がなさそうなので腹いせにビールをご馳走になることにした。
ぷはー、うめえな。このところ、酒も飲めなかったからな。つまみが欲しいところだが、贅沢は言えんな。

ピンポ~ン 玄関のチャイムが再び鳴った。
「宅配便でーす」
おお、またお歳暮だ。今度は佃煮の詰め合わせじゃないか。
ちょうどいいつまみだ。うん、なかなかイケる。

ピンポ~ン 玄関のチャイムがまた鳴った。
「宅配便でーす」
またお歳暮だ。よくお歳暮が来る家だな。
今度はワインじゃないか。俺はワインにはちょっとうるさいぜ。
うん、こりゃあいいワインだ。香りもいい。
佃煮とは、ちょっと合わないがな。

ピンポ~ン 玄関のチャイムがまた鳴った。
「宅配便でーす」
またお歳暮か。おお、なんてタイミングがいいんだ。今度はチーズの詰め合わせだぞ。
まるで俺のためにお歳暮が届くみたいだ。
色んな種類のチーズがある。しゃれてるな。
やっぱりカマンベールがワインに合うな。

ピンポ~ン 玄関のチャイムがまたまた鳴った。
「宅配便でーす」
いったいどれだけお歳暮が来るんだ。
今度は焼酎だぞ。ここの家主は酒好きなんだな。
やっぱりお湯割りか。お湯をもらうぜ。

ピンポ~ン 玄関のチャイムがまたまた鳴った。
「宅配便でーす」
おいおい、なんてことだ。今度は梅干しが来たぞ。
そうそう、焼酎のお湯割りには梅干しを入れなくちゃね。
なんだかここ、居酒屋みたいだぞ。次はご飯ものが欲しいところだな。

玄関のドアが開いた。次は何だ? 

「ちょっと、どういうこと? 鍵が開いてるわ」
あっ、住人が帰ってきた。いつの間にか夕方だ。

「ど、どろぼう? あなた、人の家で何してるのよ!」
「いや、その…」
「警察呼ぶわよ」
「その前に奥さん、〆のお茶漬けを……」


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定年後の計画 [コメディー]

「定年退職したら、旅行でもしようか」
「いいわね。宇宙旅行がいいわ。私、行きたい星があるの」
「宇宙か。危なくない? この前宇宙船がブラックホールに吸い込まれる事件があっただろう」
「あんなの稀よ。100年に一回の大惨事だわ」
「それもそうだな。地球にいても危険なことはあるしな」
「そうよ。この前、宇宙生物に噛まれて入院した人がいたわ」
「簡単にペットを捨てる時代だからな」
「ねえ、いっそどこかの星に移住しない? 政府も勧めているのよ。とにかく人口が増えすぎちゃって」
「それもいいな。人工じゃなくて、本物の海がある星がいいな」
「高いわよ。退職金、たくさん出るの?」
「そりゃあ出るだろう。100年も働いているんだぞ」
「昔は定年が60歳だって聞いたけど、早いわよね。残りの100年、どうやって過ごしたのかしら」
「寿命が違うだろう。そのころは100年生きれば長寿って言われた時代だ」
「100歳なんて、働き盛りよね」

「おっと、ボスから呼び出しだ。出かけてくる」
「気を付けてね。スカイハイウエイ、事故渋滞みたいよ」
「たまにいるんだよな。マシンに頼らずハンドル握るやつ。だから事故を起こすんだ」
「行ってらっしゃい」

「ボス、お呼びですか?」
「ああ、君、すまんが来月からポンコツ星の工場に出向してくれんか」
「え? 私、もうすぐ定年ですが」
「それなんだが、定年を120歳から130歳に引き上げることにした」
「えええ~」
「政府からの要請だ。人生150年と言われて久しいが、今や160歳、170歳はザラにいる。どうせなら働いて、税金を納めてもらおうというわけだ」

「ええ!ポンコツ星に単身赴任?」
「そうなんだ。家族は連れていけないんだ。体制が整ってないらしい」
「わかったわ。寂しいけど待ってる。10年経ったら私、128歳のおばあさんだわ」
「大丈夫。君は何歳になってもきれいだよ」
「ありがとう、身体に気を付けてね」

〈10年後〉
「ただいま。やっと終わった」
「あなた、おかえりなさい」
「ようやく定年だ。旅行の計画を立てよう」
「それがね、あなたがポンコツ星に行っている間に法律が変わってね、定年制度が無くなったのよ。生きてる間はずっと働くことになったのよ」
「そ、そんな!じゃあ、退職金はどうなるんだ」
「あなたが死んだ後に出るらしいわ。だから私、あなたより10年以上は長生きしたいの。っていうことで、アンチエイジングジムに行ってくるわ」

死ぬまで働きたくは…ない。


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今夜はカレー [コメディー]

『今夜はカレーです』

昼休み前に来る妻からのライン。
そうか、今夜はカレーか。
「お、先輩、今夜はカレーですか」
後輩の山田君がスマホを覗き込んで言った。
「毎日ライン送ってくるんですか? ラブラブですね」
「そんなんじゃないよ。昼飯と晩飯が被らないように送ってもらってるんだ。昼カレー食べて、夜もカレーだったらガッカリだろ」
「へえ。いいですね」
「山田君もそうしなよ。奥さんに送ってもらえばいいだろ」
「いや、僕は弁当ですから」
「なんだ、愛妻弁当か。そっちの方がラブラブじゃないか」
「そんなにいいものじゃありませんよ」
「またまた照れちゃって。弁当のおかずは何だい?」
「……カレーです」
「えっ? 弁当がカレー?」
「はい。昨夜のメニューがカレーだったので」
「ついでに聞くが、朝飯は?」
「カレーです」
「あえて聞くが、今日の晩飯は?」
「もちろんカレーです」
「3食、いや、4食連続でカレーはキツイな」
「いいんです。ルーから作る妻のカレーは美味しいですから」
山田君は、少し寂しそうに笑った。

家に帰ってカレーを食べながら、妻にその話をした。
「いくら美味しくても、4食連続はキツイよな。昼飯くらいは好きなものを食いたいよ」
「そうね。そう思うから私、お弁当はあえて作らないのよ」
「そういえば、うちのカレーはいつも1食だね。2日目のカレーがないのはどうして?」
「ああ、だって二人分しか買ってないもん」
ん? 買ってない? 作ってないじゃなくて?

妻が風呂に入っている間、そうっと冷蔵庫を開けてみた。
出た~!レトルトの山。
カレー、牛丼、中華丼。インスタントの味噌汁にスープ。
冷凍室にはグラタン、コロッケ、ラーメン、ギョーザにハンバーグ。
全部妻の得意料理じゃないか。

ルーから作るカレーって、どんな味だろう。
山田君、僕は今、モーレツに君が羨ましい。


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ハムレター [コメディー]

天国へ行ったハムスターから、手紙が来た。
秋の空をふわふわ舞いながら、わが家の庭に落ちてきた。

拝啓
スズキ家の皆様、お元気でお過ごしであろうか。
生前はずいぶんと世話になった。
部屋の適度な温度調節、バランスの良い食事、こまめなトイレ掃除など、感謝の念に堪えない。
ところで、風の噂で聞いたのだが、ネコを飼い始めたそうではないか。
いや、まさか、私が死んでひと月も経たないうちにネコを飼うなんて、スズキ家の面々がそのような薄情なことをするわけがないと耳を疑ったが、ふと思い出したのだ。
母親が電話で
「えー、ネコ? あー、飼いたいけど、うちにはハムスターがいるからな~」
と、残念そうに言っておったのを。
そういうことか、私が死んだから、これ幸いとネコを飼ったのか。
末娘など、あんなに泣いておったのに、今ではネコに首ったけだそうだな。
しかも、私には「ゴンタ」などという古めかしい名前をつけたくせに、ネコの名前は「ショコラ」だと?
まあよい。死人に口なし。死んだハムスターにも口なしだ。

ところで、私は生前の行いが大変良かったということで、かねてより願い出ていた人間への生まれ変わりを許可された。
私は切に願った。スズキ家の家族になりたいと。
じきに長女が身ごもるであろう。去年親の反対を押し切って、ミュージシャンと結婚した長女だ。
恐らく自分たちだけでは養えず、実家に転がり込むであろう。
私は、その長女の子供として生まれ変わるのだ。
もちろん、前世でハムスターだったことなどすっかり忘れている。
しかし本能というのは厄介なものである。
砂遊びが好きだったり、水を怖がったりするであろう。
そして何よりネコとは相性が悪い。
これから生まれる長女の子供に、ネコは近づけちゃいかん。出来ればネコは、どこかよその家に引き取ってもらうことも視野に入れてはもらえぬだろうか。
可愛い孫のため、いや、私のために。
以上、私からの切実なる願いである。
敬具


ふうん。ハムスターからの手紙か。
なるほど、ハムスターの生まれ変わりの赤ん坊がやってくるのね。
おもしろくなりそうだわ。

「ショコラ、お庭で何してるの? あら、なに? その紙、ビリビリに破っちゃって読めないじゃないの。もう、いたずらっ子ね」

ニャ~(たっぷり可愛がってあげる)

KIMG0633 (1).JPG

うちのハムちゃんは元気です。



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未来の兄嫁 [コメディー]

今年大学生になったお兄ちゃんは、お盆休みが終わるとさっさと東京に帰った。
もっとゆっくりすればと、お母さんは言ったけれど、「バイトが」とか、「サークルが」とか言いながらそそくさと帰った。

わたしは知っている。
お兄ちゃんには、彼女がいる。
「お母さんに言うなよ」と、わたしにだけこっそり、写真を見せてくれた。
おしゃれで笑顔がステキな可愛い人だった。

会ってみたいと、わたしは思った。
うちに遊びに来ないかな。こんな田舎に来るわけないか。
結婚したら、あの人がお義姉さんになるのか。お化粧とか教えてもらおう。
…なんて、気の早い想像までした。

夏休みも終わりに近づいた。
わたしは、どうしてもお兄ちゃんの彼女に会ってみたかった。
「お母さん、東京に行きたいんだけど」
「東京? 何しに?」
「東京見物。せっかくお兄ちゃんが東京にいるんだから」
「あんたは本当にお兄ちゃんっ子だね。でもひとりで電車に乗れるの?」
「乗れるよ。もう12歳だよ。お兄ちゃんに駅まで迎えに来てもらうし大丈夫だよ」
お母さんは「可愛い子には旅をさせろ」の精神で許してくれた。

東京までは電車で3時間。
田舎の景色から、住宅がひしめき合う都会へと進み、大きなビルやスカイツリーが見えてくる。
お兄ちゃんには連絡してあったから、駅まで迎えに来てくれた。
「電車、迷わなかったか?」
「スマホがあるから大丈夫」
「いいなあ。俺が中一のときは、携帯も買ってもらえなかったぞ」
お兄ちゃんが、わたしの頭をくしゃっと撫でた。

お兄ちゃん、家にいるときとちょっと違う。
カッコいいな。彼女とどんなところに遊びに行くのかな。
おしゃれなカフェとか、夜景が見えるレストランかな。
「ねえ、お兄ちゃん。わたし、お兄ちゃんの彼女に会ってみたい」
お兄ちゃんは、ちょっと照れながら、「じゃあ、会いに行くか」と言った。
「いいの?」
「もちろん。メグちゃん、きっと喜ぶよ」
彼女、メグちゃんっていうんだ。可愛いな。

わたしたちは再び電車に乗って、秋葉原に向かった。
「そうか、そうか。おまえもメグちゃんのファンになったか」
「…ファン?」
「運がいいな。俺、チェキ券持ってる」
「…チェキ券?」
お兄ちゃんは、鼻歌まじりにビルの地下に下りていく。

すごい熱気だ。
せまい舞台で、アニメ声で歌う女の子たち。
サイリウムを振りながら、変な踊りをする観客。
これって、もしかして……地下アイドルってやつ?

「お兄ちゃん、メグちゃんって彼女じゃないの?」
「彼女だよ。メグちゃんを推してるファンすべての彼女だ」

お兄ちゃんはそのあと、チェキ券とやらで、メグちゃんと並んで写真を撮っていた。
わたしに見せてくれたのは、この写真だったのか。
メグちゃんはとびきりの笑顔で写真を撮る。
お兄ちゃんとも、その次の人とも、そのまた次の人とも。

彼女じゃないじゃん。
うちに遊びに来るわけないじゃん。
お義姉さんになるわけないじゃん。

がっかりしたような、ほっとしたような。
とっとと帰って宿題やろう。

**********
10日ぶりの更新になってしまいました。
ちょっとね、私ではなく家族に心配なことがあって、なかなか書けなかったりパソコンにも触れない日があったりしました。
まあ、悩んでも仕方ないし。少しいい方向に向かいそうだし。
いろいろあるけど、前を向いていきましょう!
あんまり更新できないかもしれませんが、よろしくお願いします。



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私のバイブル [コメディー]

高校に入学して、割とすぐに彼氏が出来た。
高校生になったら恋をするという、少女漫画の鉄則に従った。
恋の相手は誰でもいいわけではない。スポーツ少年か、ちょっぴり不良か、プレイボーイか、若いイケメン教師と決まっている。
私は、サッカー部のS君に告白した。他はちょっと無理そうだったから。
昼休みに一緒にお弁当を食べたり、放課後の部活を見に行ったり、バイブル(少女漫画)通りの青春だ。
ここで、やはり少女漫画ならではの展開が訪れる。
ライバルの出現だ。それは、サッカー部のマネージャー。
S君が好きなマネージャーは、私に「練習の邪魔だから帰ってよ」とか言うのだ。

そして、S君と過ごす初めての夏休みがやってくる。
海、プール、花火にお祭り。少女漫画だと、ここで一気に距離が縮まる。
花火の夜に浴衣でファーストキス。これ、鉄則。

「ねえS君、夏休みどうする?」
「毎日練習。大会があるから」
あれれ? 想定外。
「お盆休みは? 花火大会は?」
「お盆は田舎のばあちゃんちに行く。じいちゃんの新盆だから、これは避けられない。花火大会の日は、弟と妹を連れて行くんだ。両親が仕事だからさ。ごめんね」
ああ、想定外。だけど、家族思いの優しい少年は、少女漫画っぽいから許す。
「サッカー部のマネージャーになれよ。そしたらずっと一緒にいられるよ」
「それは無理」
だって、マネージャーはライバル枠だもん。

そんなわけで、恋愛に全力を注ぐはずだった夏休みは、テレビとゲームと昼寝の日々と化した。
S君からは毎日電話があったけれど、サッカーの話ばかり。
少女漫画だったら、夜中に突然バイクで逢いに来たりするけど、それもない。

そんなとき、チャンス到来。S君が試合に出ると言う。
私はバイブルに従って、レモンたっぷりのドリンクを作って応援に行った。
サッカーはよくわからないので、S君だけを目で追っていた。
こういう疎い女の子も、少女漫画のヒロインっぽいでしょ。
試合は、よくわからないけど、どうやら負けたらしい。

私は「残念だったね」という慰めの言葉を用意して、S君に駆け寄ろうとした。
そのとき、日焼けしたショートカットのマネージャーが、泣きながらS君にタオルを渡した。
「S君、ナイスファイト! 気にするなって。ボールのキープ率は一番だったよ」
S君は、タオルを受け取って悔しそうに涙をぬぐった。
あれあれ? 炎天下のグランドで、真っ黒に焼けたふたりが泣いている。
そして時おり見つめ合い、痛みを分け合うように笑った。
あの子はライバルのはずなのに、なぜだろう、めちゃくちゃヒロインみたいだ。
私は校庭の隅っこに取り残されて、痛みを分け合うふたりをぼんやり見ていた。

けっきょくS君との恋は、2学期を待たずに終わった。
スポーツ少年を選んだのが失敗だったかな。
途中から、少年漫画みたいな展開になっちゃった。
次は、ちょっとクールな俺様系にアタックしてみようかな。


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祝!900記事 [コメディー]

本日は、お忙しい中お集まりいただきましてありがとうございます。

りんさんのブログ「りんのショートストーリー」が、なんと、900記事を達成いたしました。
これも、ひとえに読者のみなさまのおかげでございます。
そこで今日は、りんさんが、どんなご質問にもお答えいたします。
年齢、体重、体脂肪以外は何でもお答えいたします。
さあどうぞ、質問のある方は挙手願います。

はい、そこのあなた。
「質問です。900もの話を書いてこられたということですが、ヒマなんですか?」
「いいえ、決してヒマではありません。仕事中に、仕事をしているふりをして書いているのでご心配なく」

次、そちらのあなた。
「900もの話、全部自分で書いてるんですか? ゴーストライターがいるんじゃないですか」(そうだそうだ、絶対いるぞ)←ヤジ
「それはありません。ゴーストライターを雇える財力がありません」

次は、あなた、どうぞ。
「最近コメント返しが遅いですが、職務怠慢だとは思わないんですか」(怠慢だぞ!)
「すみません。夏休みの宿題もためて一気にやるタイプだったので、そういう性分だと諦めてください」

では、次の方。
「ブログのランキングを上げようとして、nice!の強要をしていませんか」
「してません」

「他のブロガーとの忖度はあったんですか」
「ありません」

「悪質タックルの指示はあったんですか?」
「?? あった…かも?」

「文書改ざんの指示はあったんですか?」
「?? あった…かも?」

「サッカー日本代表は勝てると思いますか?」
「勝てる…かも?」

「寒かったり暑かったりで、何を着たらいいかわかりません」
「私もわかりません」

「何を質問するかがわかりません」
「じゃあもうやめる?」

以上、900記事記念記者会見でした。


というわけで、相変わらずくだらなくてすみません。
このブログを始めて、もうすぐ9年です。
めざせ、1000記事!
今後ともよろしくお願いします。


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子離れ [コメディー]

一人暮らしをしたいと言ったとき、思った通り、母は反対した。
私を溺愛しているからだ。
「でもね、お母さん。通勤時間1時間半って、けっこう大変なのよ。うちの会社は時間が不規則だし、残業になったらそれこそ、寝に帰るだけよ」
「残業なんてしないで早く帰ってくればいいでしょう。だいたい若い女の子をそんな遅くまで働かせる会社がどうかしてるわ」
「お母さん、昔と違うのよ。男も女もないのよ」
「一人暮らしなんて、ずぼらなあんたには無理に決まってる」
何を言っても平行線。そもそも私は24歳だし、アパートの契約もひとりで出来る。
会社から5分のアパートを紹介してくれる先輩もいる。
だから私は、反対されても家を出る決心をした。
母には、早く子離れして欲しい。

ひとりでアパートを決めた。
母とはずっと口をきかず、引っ越しの日には父が来てくれた
「足りないものがあったら言いなさい。それから、ちゃんと連絡は入れるように。メールでいいから、1日1回、お母さんに送りなさい。お母さんは、寂しがり屋だからな」
父は、優しく言って帰って行った。

一人暮らしは快適だった。
朝6時に起きなくていいし、満員電車に乗らなくていいし、飲み会で電車の時間を気にすることもない。
同僚が遊びにきて「いいなあ」を連発する。優越感だ。
私は毎日楽しくて、母へのメールも忘れていた。母からもメールはない。
きっと意地を張っているのだろう。

しかし、快適な暮らしは、1か月後に崩れる。
通帳の残高を見て愕然とした。
「うそ、なんでこんなに少ないの?」
家賃の他に光熱費と水道代というものがかかる。
わかっていたことなのに、その金額に驚く。
引っ越したばかりで友達がたくさん来て、電子レンジを使いまくった。
朝からシャワーを浴びたりした。
おまけに、実家暮らしのときにカードで買った服や化粧品の引き落としもある。
貯金は家具や家電を揃えるのに使ってしまい、ほとんど残っていない。
給料を全部、自由に使えた癖が抜けずに、ついつい余計なものを買っていた。
ヤバい。生活費が足りない。

父に電話して、いくらか援助してもらおうと思ったけれど、よく考えたら父の小遣いは、私の学生時代のバイト代より少ない。無理だ。
週末のディナーをキャンセルして、合コンも飲み会も断ろう。当分贅沢は敵だ。

もやしばかり食べていたら、無性に母の手料理が食べたくなった。
週末に帰ってみよう。きっと母だって、寂しがっているはずだ。
突然行って驚かせたら、泣くかもしれない。
そして泣きながら、私の好物を作ってくれるだろう。

家に帰り、庭に入った途端、犬に吠えられた。
噛みつきそうな勢いで、キャンキャン吠える。
「あらあら、マリンちゃん、どうしたの?」
高級そうな犬用の牛肉を持った母が出てきて、私に気づいた。
「あら、あんた帰ってきたの?」
「お母さん、犬飼ったの?」
「犬じゃないわ。マリンちゃんよ」
私のお腹がグーっと鳴った。
「お腹空いてるなら、台所にカップ麺があるから食べなさい。お母さんは今からマリンちゃんのトリミングなの」
母はあっさり出かけてしまった。

台所では、父がカップ麺にお湯を注いでいた。
「ああ、帰ってきたのか。しょうゆ味と味噌味、どっちがいい?」
「お父さん、犬飼ったの?」
「ああ、お母さんは犬を溺愛している。犬って呼ぶと怒られる。マリンちゃんだ」
ふうん。
子離れ、早すぎない?
私は、しょうゆ味のカップ麺にお湯を注ぎながら思った。
あの犬、私よりいいもん食ってたなあ~。


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